「面白き道具ですな。按針さまの土産で?」
「ペンスウ。墨がいらん筆じゃ」
NHKで好評放送中の大河ドラマ「どうする家康」。12月3日放送の第46回「大坂の陣」では、主人公・徳川家康(松本潤)と茶々(北川景子)&豊臣秀頼(作間龍斗)親子の豊臣家が激突する「大坂の陣」に至る過程が描かれた。
冒頭に引用したのは、この回の幕開けとなった鉛筆で絵を描く家康と、その様子を見ていた阿茶局(松本若菜)のやり取りだ。つい最近放送された関ヶ原の戦いの際は、各地の大名を味方につけるため、筆で書状を書きまくっていた家康の姿を思い出すと、その変化を実感する。
この回は、他にも随所に時代の変化を感じさせる描写が盛り込まれていたのが印象的だった。
例えば、豊臣秀吉と戦った小牧長久手の戦いでの勝利を、自分の手柄だと若い武将たちに自慢する織田常真(信雄/浜野謙太)。実際は、共に戦った徳川方の功績であり、多くの視聴者が信雄を「調子のいいやつ」と思ったに違いない。だが考えてみれば、小牧長久手の戦いは、大坂の陣の30年も前の出来事。当時を知らない若い武将たちが、素直に感心するのも無理はない。
そして極めつけは、大坂の陣で家康が利用し、豊臣方の大坂城に大打撃を与えた新兵器の大砲だ。そのずば抜けた破壊力は、それまでの鉄砲を使った戦いから、時代が変わりつつあることを感じさせた。