おでかけ

諏訪湖畔の老舗宿で琥珀色の自家源泉 完全掛け流し風呂と信州の味覚を堪能 「上諏訪温泉 ホテル鷺乃湯」 【コラム:おんせん! オンセン! 温泉!】

長野県諏訪市 上諏訪温泉

 梅雨が明け、いよいよ夏本番。気温だけでなく湿度も上がり、外を歩くだけで体にまとわりつくような蒸し暑さを感じますよね。そんな季節には、湯上がりに肌がさっぱりとする温泉もおすすめです。今回は、夏のジメジメを洗い流すような琥珀(こはく)色のお湯を楽しめる、長野県・上諏訪温泉「ホテル鷺乃湯(さぎのゆ)」をご紹介します。

宿から至近にある諏訪湖畔の景色
「ホテル鷺乃湯」の外観

 ホテル鷺乃湯は、諏訪湖の東岸に立つ老舗宿。JR上諏訪駅から徒歩圏内で、道路を挟んだ先には諏訪湖が広がります。宿の隣には、洋風建築と大浴場「千人風呂」で知られる国指定重要文化財の片倉館があり、湖畔散策も楽しい立地です。

 ホテル鷺乃湯の始まりは明治38(1905)年ごろ。田んぼから湧いていた温泉を利用し、「一銭湯」と呼ばれる入浴施設を造ったのが原点です。その後、明治44年に「含鐵硫黄温泉さぎのゆ」を創業。100年以上にわたり、諏訪湖畔で湯治客や旅行客を迎えてきました。

宿泊した諏訪湖を望む和室

 宿泊したのは諏訪湖側の和室。畳の間の奥にソファを備えたくつろげる空間があり、窓越しに湖を望めました。夕刻には空がオレンジ色に染まり、その光が湖面へ静かに広がっていきます。

 夏の諏訪湖では、毎年8月15日の「諏訪湖祭湖上花火大会」に加え、約10分間の花火を連夜打ち上げる「諏訪湖サマーナイト花火」も開催されます(実施は8月23日まで)。湖側の客室から眺められる日もあり、温泉と花火を一度に楽しめるのも湖畔の宿ならではです。

大浴場の内湯
大浴場の露天風呂

 お風呂は、男女別の内湯と露天風呂を完備。大浴場の湯使いは掛け流しと循環の併用ですが、露天風呂の奥にある小浴槽は完全掛け流しです。大人が2人入ればいっぱいになる小ぶりな浴槽へ、新鮮な源泉が絶えず注ぎ込まれ、縁から静かにあふれていきます。浴槽が小さい分、湯の入れ替わりも早く、香りや肌触りなど湯の個性がいっそう鮮明に感じられました。

自家源泉を掛け流す小浴槽「樽風呂」
もう1カ所の大浴場露天風呂。浴室の男女は深夜に入れ替わる

 泉質はナトリウム―炭酸水素塩温泉。敷地内に湧く自家源泉で、透明感を残しながら茶色く染まったお湯は、無色透明の湯が多い上諏訪温泉では珍しい湯色です。光の当たり方によっては琥珀色に輝き、少し濁った麦茶のようにも見えます。

 お湯は、青々とした葉っぱを想わせる甘い植物のような香りのモール系。口に含むと自然な甘味と、ダシのようなうま味が広がります。そこにモール系のコクのある風味が重なり、例えるなら麦茶のような味わいでした。肌触りは、ツルツル、スベスベ、ヌルッとした感触の中に、キュッキュッとした引っかかりや軽いキシキシ感も同居。ぷるんとしたお湯が肌にまとわりつく一方、湯上がりは重たさがなく、肌はサラサラ、体はぽかぽか。夏の気だるさやジメジメを洗い流したような爽快感が残ります。

マグロ、信州サーモン、マダイのお造り
アルプス牛のすき焼き
山菜・とろろ・青ネギを添えた蕎麦

 夕食には、信州の食材と季節の味覚を取り入れた会席料理が並びます。マグロ、信州サーモン、マダイのお造り、信濃雪鱒のカルパッチョ、サワラのオレンジ柚庵焼きなど、魚料理も多彩。もちろんお肉料理もあり、アルプス牛のすき焼きが絶品でした。火が入るにつれて脂がほどけ、甘辛い割り下をまとった肉がやわらかく広がります。

 山菜・とろろ・青ネギを添えた蕎麦、甘鯛道明寺の銀餡、茶わん蒸しのそば米餡なども続き、締めは長野県産米を使った筍ごはん。信州の山、川、湖の味覚を少しずつ楽しめる献立でした。

夜景を望む諏訪湖畔。夏の時期は花火が彩る

 諏訪湖の景色を眺め、信州の味覚を楽しみ、琥珀色の自家源泉にゆっくりと身を沈める。「ホテル鷺乃湯」では、上諏訪ならではの湖畔の温泉旅を満喫できます。

 湯上がりの肌がさっぱりととのう爽快なお湯は、蒸し暑い夏にもぴったり。この時期は諏訪湖の夜空を彩る花火も楽しめます。湖を渡る風に涼みながら、温泉と花火に癒される夏の上諏訪旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。

【上諏訪温泉 ホテル鷺乃湯】

住所 長野県諏訪市湖岸通り3-2-14

電話番号 0266-52-0480

【泉質】

ナトリウム-炭酸水素塩温泉(低張性 弱アルカリ性 高温泉)/泉温51.1度/pH:7.58/湧出状況:-/湧出量:-/加水:なし/加温:なし/循環:なし/消毒:なし ◆完全掛け流し(露天小浴槽)

【筆者略歴】

小松 歩(こまつ あゆむ) 東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床での車中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は3,000以上。好きな温泉は草津温泉、古遠部温泉(青森県)