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小川菜摘が語る子育て論「等身大でいることが大事」【インタビュー】

 1978年にドラマ「ゆうひが丘の総理大臣」で俳優デビュー以来、数々の映画、ドラマ、舞台に出演してきた小川菜摘。89年にはダウンタウンの浜田雅功と結婚、2児を出産した。現在、俳優として活躍するのみならず、母として、妻としての考えや生き方も広く支持されている小川は、8月18日から開幕する、ざんねん系おもタメミュージカル「ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~」にも出演。累計発行部数470万部超えの人気シリーズの初舞台化作品への意気込みや、子育て論を聞いた。

小川菜摘(ビジュアル衣裳での撮影) (C)エンタメOVO

-大いに話題となった児童書「ざんねんないきもの事典」を舞台化することに驚きました。小川さんはオファーを受けてどんな心境でしたか。

 原作は知っていましたが、きちんと読んだことがなかったので、“あれが舞台化!?”というよりは、脚本・演出の村上(大樹)さんからオファーを頂いたうれしさで二つ返事でお引き受けしました。村上さんの作品が大好きなんです。

-村上さんの演出の印象は?

 ご一緒させていただくのは今回が2度目になるのですが、自由にやらせていただけるので、役者としてはすごくありがたいです。その中で、「こっちにしよう」というご提案を頂くこともありますし、一緒に組み立てていく作業がとにかく楽しいんです。毒もあり、愛もあり、“ナンセンス”もあって、素晴らしい才能をお持ちで、信頼しています。

-共演者には若手の人も多く、フレッシュな印象です。

 私の息子よりも若い子が多くて、母親の気分です(笑)。加藤啓くんとは一緒の舞台に出演したこともありますし、野口かおるちゃんは大好きな女優さんなので、お二人とご一緒できることも楽しみです。

-本作は、子どもたちもたくさん来場する作品になると思います。そういう意味でも出演する楽しみがあるのでは?

 3月に「チコちゃんに叱られる!on STAGE」に出演させていただいたのですが、そのときもたくさんいらっしゃっていて、子どもたちの笑い声がたくさん聞こえました。子どもたちは、この役者だからこの舞台を見るということはなく、ただ純粋に目の前で繰り広げられているその舞台を楽しんでいるんですよ。それを初めて目の当たりにして、とにかくうれしかったですし、なんて幸せな仕事をしているんだろうと改めて実感できました。今作も、大人も子どもも楽しめる作品なので、ぜひ親子で来ていただきたいです。(公演は)夏休み中なので、夏休みの自由研究には、ぜひこの舞台の感想文を書いてもらえたら。

-小川さんも子育て中には児童書や絵本などを読んでいましたか。

 子どもが小さい頃は、本当によく読み聞かせをしていました。どうしても職業柄、絵本を読んでいると力が入ってしまうんですよ。役ごとに声色を変えて、全力で読んでいたので、お化けが出てくるような本だと、子どもから「お母さん、怖いからやめて。普通に読んで」とよく言われました(笑)。「フランダースの犬」のような悲しい話を読むと、何回読んでも読みながら号泣してしまうんですが、子どもはしらけていたりして(笑)。その頃は舞台のお仕事をお休みしていたので、読み聞かせが楽しかったんです。きっとウズウズしていたんだと思います。

-芝居がしたかったんですね。

 だから私、子どもたちの幼稚園の卒園式で、父兄による出し物にもかなりの力を注いでいました。自ら物語を脚色して、演出して、他のお母さん方と一緒にお芝居をして。先生方にも園が始まって以来の大爆笑だと言われるぐらい、親御さんたちも子どもたちも笑ってくださいました。ただ、(出演してくれた)お母さんたちは当然素人なので、なかなか思うようにいかなかったんですよ。

-それはもちろん、プロの人と同じようにはできないですよね。

 そうなんですよ。一言しかせりふがないのに覚えていなかったり(笑)、自分もステージに上がっているのに共演者を見て笑ってしまったり、自分のせりふを忘れているのに急にアドリブを言ったり(笑)。でも、それも含めて、子どもたちや先生方がケラケラ笑ってくれたので、いい卒園の会になりましたし、いい思い出として残っています。

-その当時、子育てをする上で、どんな信念を持っていましたか。

 大人だからとか、お母さんだから、お父さんだから、先生だからって決して完璧ではないということは伝えようと思っていました。なので、失敗するところも、駄目なところも小さい頃から見せていました。時には、疲れていたり、ストレスがたまっていて、(子どもに)強い言葉をぶつけてしまうこともありましたが、そのときには後からきちんと謝る。私は等身大でいることが大事だと考えていました。素を隠しているよりも、そのままの自分を見せて、自分に悪いところがあれば謝ればいいんですよ。悪いと思ったら「ごめんね」と伝えるのも教育の一つだと思うので。

-なるほど。

 それから、子どもたちの前では、主人とのけんかは絶対に見せないようにしていました。「今日はけんかするぞ」という日は、母親にそれを伝えて子どもたちは実家に預けていました。子どもたちは親のいざこざには関係ないですから。だから、それは見せたくなかったんです。それは今でも徹底しています。

-最後に、改めて本作への意気込みを。

 まずは自分が楽しんで演じなければいけないと思うので、お稽古から千秋楽まで、毎日、楽しみたいと思います。お芝居には、これが正解というものはないので、日々、いろいろと考えて、作品を楽しみたい、と。「まだ何かできるだろう」と常に上を目指して挑みたいと思っています。

(取材・文・写真/嶋田真己)

ざんねん系おもタメミュージカル「ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~」 (C)ミュージカル「ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~」

 ざんねん系おもタメミュージカル「ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~」は、8月18日~28日に、都内・あうるすぽっとで上演。
公式サイト https://zannen-stage.com