
-お二人の息の合った現場の様子が伝わるすてきなお話です。劇中でも本当の兄妹のようで、初共演とは思えませんが、撮影中、お互いの共通点を感じたことはありますか。
安田 のんちゃんは、何かを伝えようとするとき、自分の言葉でこんなふうに伝えたいと、きちんと感情が整理されているんです。そこは僕と似ているなと。僕も自分の伝えたいことがあるときは、自分の言葉で説明することを心掛けていますし。それともうひとつ、相手の放つ言語以外の空気や体温、人間の匂いみたいなものを察知しようとする点も似ている気がします。だから、お芝居のキャッチボールができるのかなと。
のん 安田さんのおっしゃる通りで、お芝居をするときは、二人で空気を作っている感覚を大事に、相手の演技を感じとるように心がけています。それをお互いに受け取り、きちんと返せていることが実感できると、すごく幸せな気持ちになります。今回も、安田さんとのお芝居では、ものすごく充実した感覚がありました。
-そういうお二人が演じる大貴と希の日常が温かく描かれている点も本作の魅力です。演じる中で、兄妹の生き方から学んだことはありますか。
安田 「人生はポコ・ア・ポコ(人生はゆっくり進んでいけばいい)」という言葉がありますが、その通りだなと改めて感じました。僕自身も、大きな病気(2017年に髄膜腫を発症)を経験しましたが、それでも、こうして誰かのために表現できる幸せを感じていられる。だから、「人生はポコ・ア・ポコ」でいいんだなと。
のん 私は、お芝居のときは空気感を大事にするのに、普段は言葉に縛られがちなので、家族ともきちんと心でつながることが大事だなと改めて感じました。あと、私にとっては安田さんとの出会いが衝撃でした。
安田 衝撃でしたか(笑)。
のん 激震です!「こんな方がいるんだ!」と感動があふれ出ていました。
安田 そんなことないよ。町の商店街にもいっぱいおるで。
のん いませんよ(笑)。面白くて、優しくて、現場の士気を上げてくださる上に、すごくフラットにいろんなお話しをしてくださって、物事の嫌な部分もいい部分も全部ひっくるめて捉えている感じで、私もこんなふうにフラットに物事を受け止められたらいいなと。ニュータイプです!
安田 ニュータイプ(笑)。新人種やん。
のん 物事を受け止める懐の深さも素晴らしいですし、いろいろなことをつぶさに察知し、気を配るスキルもすごいな…と。とても尊敬しています。
安田 ありがとう。
-劇中では、大貴と希の兄妹が周囲の人々と温かくつながっていく様子が描かれていますが、この作品を通して、人と人とのつながりについて改めて気づいたことはありますか。
安田 多くの方は、思いを行動に移すことが苦手なのかなと。思っていても行動できなかったり、言葉にして伝えるのが苦手だったり…。僕は、思っているなら行動に起こした方がいいし、言葉にして伝えた方がいいと思っているので、相手を大切に思っていると感じたときは、そう伝えるようにしています。人と人との関係は、トライしないとわからないことの方が多いですから。それだけ人間関係が複雑ということなんでしょうけど、それを意識して努力するところから、相手に対する理解が生まれるのではないでしょうか。
のん 優しさや思いやりの大切さを改めて感じました。私は今まで、自分がかけられたい言葉を人にかけるようにしていましたが、それが相手の感覚に合わないことも多かったんです。そういうことを経験し、「間違えていたのかな」と気づき始めたときにこの作品と出会い、曖昧にしていた部分と今、正面から向き合っているところです。でも、そういうことに気づけたのも、安田さんのおかげです。これからは、安田さんのような振る舞いを心がけたら、人と円滑な関係性を築けるんじゃないかなと。それも含めて、とても大きな学びになった作品です。
(取材・文/井上健一)








