競泳のシーズン開幕を告げる第38回コナミオープン水泳競技大会が2月18、19の両日、東京都江東区の東京辰巳国際水泳場で開かれた。この大会は、子どもたちとトップスイマーが同じ舞台で競うことができる国内有数のオープン大会。今年も夏の世界選手権(福岡市)を目指すトップクラスから、スクールやクラブで練習を積んでいる小中高生まで約900人が参加した。2日間で2個の中学新記録と3個の学童新記録が生まれたが、そのうち中学新1個、学童新2個を出したのがコナミ所属の2選手だった。
▽記録伸び水泳が楽しい
今回、好記録を期待されていたのが小学生男子の背泳ぎで50メートルと100メートルの学童記録を持つ6年生の浜口敬(コナミ東加古川)と、中学男子の自由形短距離で全国ナンバーワンの3年生、黒田一瑳(コナミ新札幌)の2人。
浜口は4種目にエントリーした。背泳ぎの100メートルで1分の壁を破る59秒55、50メートルで27秒78のそれぞれ学童新で優勝。50メートル自由形も1位で、200メートル個人メドレーは3位だった。得意は背泳ぎで「背泳ぎは負けられないし、記録も狙っていた」とうれしそうに話した。5年生から距離を延ばし100メートルの練習を始めたところ、スタミナが付いて記録も出るようになったそうだ。
現在は週に5日、練習している。レースで勝ち、記録も伸びているので「水泳が楽しい」と言う。4月からは中学生。166センチ、53キロと今は細身だが、これからもっと大きくなりそう。「中学生になったら200メートルも練習してもっとスタミナを付け、全部の種目で力を出せるようにしたい」と目標を掲げた。
▽ナンバーワンは北国育ち
黒田は100メートルと200メートルの2種目を制した。50メートルは、スタート前に動いたとして失格。200メートルは1分51秒14で中学記録には及ばなかったが、100メートルは50秒52の中学新だった。今大会の目標は3種目制覇で「100メートルでは50秒を切りたかった」そうで、うれしさも半分といった感じ。とはいえ、100メートルでは2位に2秒近い大差をつける快勝だった。
北海道出身でトップスイマーという例は過去には少なく、2000年シドニー五輪女子400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得した平泳ぎの田中雅美さんが有名なくらい。しかし今は、プールは温水で年中泳げるし、ジュニアの強化合宿などで全国の仲間との交流もある。黒田も特に意識はしていない。
「高校生になったら松井理宇さん(日大豊山高2年)に勝つのが目標」と言う。今大会、高校男子の100メートル自由形を49秒90で制した松井をライバルに挙げた。体格は178センチで73キロ。もう一回りは大きくなりそうだ。中学2年から指導している成田彩夏コーチは「精神面が強くなれば、もっと伸びる」と指摘。北国のスイマーが活躍すれば、全国の子どもたちの励みになるのは確か。札幌の師弟コンビに期待だ。
大会副会長で、長く日本代表チームを指導してきた上野広治・日本水泳連盟副会長も「素質は抜群。今後はテクニックや精神面を磨き、高いレベルを目指してほしい。今が100点ではない」と、2人の未来にエールを送った。