南国土佐・高知のよさこい祭りが、8月9日の前夜祭から始まり、10日と11日の本番、12日の後夜祭・全国大会と4日間にわたって開催された。今年で66回目を迎える本場高知のよさこい祭りは、市内9カ所の競演場と7カ所の演舞場に総勢207チーム、約1万8,000人の踊り子たちが集まり、思い思いの乱舞を披露。南国土佐の壮大なカーニバルは、国内外から集まった踊り子と見物客らによって盛り上がり、街全体が熱気に包まれた。令和元年の高知県よさこい祭りは、海外7カ国のメディアも取材に訪れ、世界中が注目するイベントとなった。
■自由なスタイルが世界中の人々を魅了する“よさこい”
よさこい祭りは、戦後全国的な不況が続く中、1954年8月に市民の健康と繁栄を祈願するとともに、商店街振興を促す目的で、高知商工会議所が中心となり始まった。第1回の参加人数は21団体・750人だったが、年々参加者が増加し、30回目のよさこい祭りには1万人以上の踊り子が参加する規模となった。
よさこいのルールは「鳴子を持つ」「前進する振り付け」「よさこい鳴子踊りのメロディーを入れれば曲のアレンジは自由」の3つだけ。この自由なスタイルが幅広く受け入れられ、高知のよさこい文化は全国200カ所、世界29カ国・地域にまで広がっていった。 日本の祭りは、伝統や型を守りながら受け継がれていくものだが、よさこいはその国や地域の文化とともに形を変え発展し続けている。
絶えず新しいものを取り入れ進化し続けるよさこいの各チームは、伝統的な音楽からロックまで演奏方法もさまざまだ。髪型や衣装・化粧も派手さを増し、振り付けもサンバ調、ロック調、古典の踊りなど工夫を凝らしていく。
踊り子の前をゆっくりと先導する地方車(じかたしゃ)も華やかに装飾される。トラックを装飾した地方車の上はライブステージとなり、歌や掛け声、ギター、ドラム、和太鼓、三味線などなんでもありの華やかさ。地方車の後部に取り付けられた巨大なスピーカーから鳴り響く音楽に合わせて、100人近いチームが舞い踊る。その迫力に見物客は圧倒され一瞬で虜になる。そして沿道の見物客は、リズムに乗りながら踊り子の方をうちわで仰ぎ、街自体がよさこいのリズムに揺られていく。
■よさこいは最高の自己表現の場 世界中にファンが広がる
高知県では、2016年からよさこいを世界に広げる目的で「よさこいアンバサダー」の認定制度を作り、世界中によさこいを広げる人の活動を支援している。2018年度までに16カ国56人を「よさこいアンバサダー」に認定し、今年はロンドン、チェコ共和国のプラハ、ハンガリー・ブダペストの3チームを認定。
令和元年のよさこい祭りには、台湾から3チーム、67人が参加したほか、アジア、ヨーロッパ、北米、中南米、オセアニアなど、海外27の国・地域から150人の外国人が祭りを盛り上げた。カナダ在住の「よさこいアンバサダー」の呼び掛けによって「北米」「欧州」「オセアニア」「東南アジア」17の国と地域から集まった39人が、「高知県よさこいアンバサダー絆国際チーム」も結成。高知県によると、参加を希望する外国人は年々増えているという。
よさこいは、最高の自己表現のステージとも言われる。そこには国境や人種の壁はなく、個性を存分に主張しながら踊り、友情を育む。そして、同じ想いを持った仲間や高知の人々と一瞬で心がつながり、笑顔と交流が生まれる。
■学生が主催する「第1回 土佐学生よさこい大会」が開催!!
よさこい祭りに先駆けて、8月9日に学生チームが高知城演舞場で踊る「土佐学生よさこい大会」が行われた。「土佐学生よさこい大会」は学生が中心となって企画したもので、学生チーム同士の交流をさらに図り、よさこいと高知県の良さを全国の学生にもっと知ってもらいたいという想いから記念すべき第1回の開催に漕ぎつけた。
参加した学生チームは「高知学生 旅鯨人(高知県)」「香川大学よさこい連“風華”(香川県)」「早稲田大学“踊り侍”(東京都)」「学生よさこいチームおどりんちゅ(東京都)」「高知工科大学よさこい踊り子隊(高知県)」「同志社大学よさこいサークル よさ朗(京都府)」の6チーム。
「高知学生 旅鯨人」のメンバーは「チームの伝統的な踊りに、自分たちなりのアレンジを加えこれまで練習してきた。ステージで思いっ切り表現したい」と日焼けした笑顔で語った。
土佐学生よさこい大会の審査は一般の観客の投票によって行われ、以下の受賞が決まった。
■「まっこと映える!」賞
高知工科大学よさこい踊り子隊
■「こじゃんちエモい!」賞
学生よさこいチームおどりんちゅ
■「たるばあバズる!」賞
同志社大学よさこいサークル「よさ朗」
■前夜祭の盛り上がりも最高潮に!よさこい宣伝部長の南海キャンディーズ山ちゃんが踊る
8月9日、よさこい祭り会場でもある中央公園競演場で、前夜祭が開催された。前夜祭では、祭りの安全を祈願した後、ロンドン、チェコ共和国のプラハ、ハンガリー・ブダペストの3チームがよさこいアンバサダーに認定され、認定書の授与が行われた。
高知県観光特使でよさこい宣伝部長も務める南海キャンディーズの山里亮太さんもステージに登場。山里さんは「高知のよさこいを見て、一瞬で魅せられた。よさこい宣伝部長として皆さんと一緒によさこいを盛り上げていきたい」と語った。
会場の盛り上がりが最高潮になる前夜祭終盤の総踊り。山ちゃんはこの日に向けて猛練習を行ったよさこいを披露し、会場と一体になって盛り上げた。
尾﨑正直・高知県知事は、よさこい祭りの開催に先立ち「高知のよさこいは全国200カ所、世界29カ国・地域に広がり、世界の共通語になった。今年のよさこい祭りには27カ国から150人の外国人が参加する。よさこい、そしてこの高知を世界の人々が交流できる場所にしたい」と、よさこいを通じた国際交流に期待を寄せる。また来年以降のよさこい祭りに向けて「高知のよさこいの熱量と情熱はすさまじい。踊りという最高の自己表現を通じて、さまざまな国や地域の良さを発信し、高知の皆さんとも交流してほしい」と熱く語った。
「ヨッチョレ ヨッチョレ ヨッチョレヨ 高知の城下へ来てみいや ジンマも バンバも よう踊る 鳴子両手に よう踊るよう踊る♪」
よさこいの自由なスタイルは、その国や地域の文化によって形を変えながら世界中に広がっている。そして、南国土佐・高知よさこいの熱気は、国や地域、人種を越えて世界中の人々を笑顔でつなげて友情を育む。
情熱あふれる高知で、その魅力に触れてみないか!?