2030年までにエンジニア人材不足が深刻化することが指摘されている。情報学系・工学系・建築学系の3学系を有する東京工芸大学(神奈川県厚木市)は、日本で就職を希望する外国人留学生をエンジニアの卵として育成し、日本企業に就職できるような支援を行う「留学生サポート制度」を、2026年度4月入学者からスタートする。入学時の授業料減免や毎月の住居費支援、入学試験で特待生制度か指定校推薦を選択した場合、入学金の減免など77万円から97万円の経済的補助が受けられるなど、留学生を入学~教育~就職までサポートする。
日本ではエンジニア不足が加速している一方で、日本企業が外国人労働者を雇用する場合、日本語でのコミュニケーション能力不足などから、採用に踏み切ることをためらうケースも少なくない。また、留学生は日本での初めての生活や文化に慣れないことから、地域社会との交流が十分に持てず、孤立感や不安を抱え、地域社会との溝を感じることが社会問題として挙げられている。
そこで同大工学部は、2026年度に完全移行する「つうおん(通学+オンデマンド授業)」の仕組みを活用した研究・課外活動による地域との連携や、大学付置施設である「学修支援センター」での日本語力支援などにより、留学生の学ぶフィールドをさらに改善させていく予定。
「つうおん(通学+オンデマンド授業)」は、一週間の授業日数5日間を「面接(対面)授業を実施する曜日(週3日)」と「研究・課外活動とオンデマンド型の遠隔授業を実施する曜日(週2日)」で構成するハイブリッドな時間割り。自由な時間に受講できるオンデマンド授業のメリットを生かし、オンデマンド授業実施日には、希望者が取り組める研究・課外活動も用意。大学周辺地域社会とのつながりや社会的な経験、協調性なども学ぶことができる。
さらに、学内施設「学修支援センター」では、日々の課題レポートや就職活動での履歴書作成などで日本語に不安を感じた際は、日本語の添削などの支援をいつでも受けられる。就職に向けては、入学時から「カリキュラムアドバイザー」と呼ばれる教員が学生一人一人につき、自国とは異なる慣れない環境下でも不安のないよう、寄り添いながら大学での生活を支援していく。実際の就職活動時には、卒業研究の指導教員が中心となり、日本企業への就職を目指したサポートを行う。
「留学生サポート制度」や「つうおん」に関する詳細は、同大の工学部受験生サイトや6月から9月まで毎月行われるオープンキャンパス、キャンパス見学でも紹介する。工学部受験生サイト、同サイト学費サポートページも公開している。