全国に広がるTSUTAYAフランチャイズ店、SHIBUYA TSUTAYA、代官山 蔦屋書店など、数々の企画を生み出した蔦屋書店の創業者、増田宗昭氏。そして、喜多川歌麿を育て、山東京伝を世に出し、謎の絵師・東洲斎写楽をわずか10カ月で時代の記憶に焼きつけた江戸の名版元、蔦屋重三郎。時代を超え、江戸と令和で「文化と届けること」を問う『二人の蔦屋 蔦屋重三郎と増田宗昭』(太田出版、税込み2750円)が話題になっている。
NHKドラマ「べらぼう」主人公のモデルとしても記憶に新しい蔦屋重三郎は、幼いころに両親と別れ、吉原で育っている。一方の増田氏も、枚方・色町で生まれ育った。蔦重は24歳で貸本屋を初め、増田氏も貸しレコード店の店主として手腕を振るった。当代きっての企画マンであり、“人たらし”であり商売人だった二人の蔦屋の歩みをたどると、驚くほどの共通点がある。
二人の特徴的な性格や行動の描写、挫折など、時代を超えた二人の蔦屋の物語を通して、「商売」についてはもちろん、「文化を届けるとはどういうことか」という本質的な問いに対する答えを探る一冊。