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【週末映画コラム】「アンナチュラル」「MIU404」と同じ世界線で展開する『ラストマイル』/ムスリムの姉妹を活写した青春バトルアクション『ポライト・ソサエティ』

『ポライト・ソサエティ』(8月23日公開)

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 ロンドンのムスリム家庭に生まれた高校生のリア・カーン(プリヤ・カンサラ)は、スタントウーマンを目指してカンフーの修行に励んでいるが、学校では変わり者扱いされ、両親からも将来を心配されていた。

 そんな彼女にとって、画家志望の姉リーナ(リトゥ・アリヤ)が唯一の理解者だ。ところが、リーナは富豪の息子と恋に落ち、彼と結婚してシンガポールへ移住することに。

 彼の一族に不信感を抱いたリアが独自に調査を進めると、結婚の裏には驚くべき陰謀が隠されていた。リアは姉を救うため、友人たちと共に結婚式を阻止すべく立ち上がる。

 カラフルな民族衣装に身を包んで戦うムスリム(イスラム教徒)の姉妹を活写したイギリス発の青春バトルアクション。テレビドラマの演出で高く評価された、パキスタン系イギリス人のニダ・マンズールが監督・脚本を担当し、英国インディペンデント映画賞で最優秀新人脚本家賞を受賞した。

 全編を、「二姉妹物語」「イードの夜会」「ワイフハンター撃退作戦」「シャー邸の襲撃」「ザ・ウェディング」という5章に分けて構成。テーマは「ポライト・ソサエティ=凝り固まった社会」からの脱却だ。

 アクションの形はジャッキー・チェン、ガールズアクションとしては『キック・アス』(10)の影響を強く感じさせる。既製の音楽の使い方もクェンティン・タランティーノ風だ(浅川マキの「ちっちゃな時から」が流れたのには驚いた)。

 とはいえ、イギリス人女性とパキスタン移民の男性との恋を描いた『きっと、それは愛じゃない』(22)でも、文化や宗教、結婚観や価値観の違いが描かれていたが、この映画でもムスリム独特の宗教観や結婚観が描かれていて興味深く映った。

(田中雄二)