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【週末映画コラム】まさかほろりとさせられるとは… サンタクロースが誘拐された!『レッド・ワン』/シリーズ最終章『ヴェノム:ザ・ラストダンス』

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(11月1日公開)

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 ジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)に地球外生命体のシンビオートが寄生したことで生まれたヴェノム。黒くて屈強な肉体と鋭い牙を武器に、長く伸びる舌で人を食らう恐るべき存在でありながらも、エディと一心同体となって強敵カーネイジを倒し、世界の危機を救った。

 エディとヴェノムは強い信頼関係で結ばれたバディとなり、見事なチームワークで敵を倒していく。そんな彼らは、シンビオートを極秘に研究する施設に侵入したことで特殊部隊から追われる羽目になる。さらには新たな脅威が地球外から飛来する。

 スパイダーマンの宿敵としても知られるマーベルコミックのダークヒーロー、ヴェノムの活躍を描いた人気シリーズの第3作。ヴェノムや前作で戦ったカーネイジら「シンビオート」と呼ばれる地球外生命体の創造主である最強の敵・邪神ヌルが登場し、エディとヴェノムは壮絶な戦いを繰り広げる。

 シリーズ過去2作で脚本や製作を務めたケリー・マーセルが、本作でも原案、脚本、製作を務めたほか、自らメガホンも取り、監督デビューを果たした。共演はキウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エバンス、前作から引き続きの登場となるスティーブン・グレアムら。

 前作『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(21)のアンディ・サーキス監督が「これはある意味、エディとヴェノムのラブストーリーだ」と語っていたが、最終章となった今回はそれをさらに深めた印象がある。

 エディとヴェノムの掛け合いの楽しさ、ヴェノムの変化、全てはエディのためにとヴェノムが示すサクリファイス…。まさかヴェノムでほろりとさせられるとは思わなかったし、見た目と中身とのギャップについても考えさせられた。

 また、この映画はニューヨークを目指すロードムービーとしての面白さもあるのだが、そのバックに流れる選曲が素晴らしい。

 デビッド・ボウイの「スペース・オディティ」、クイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」、キャット・スティーブンスの「ワイルド・ワールド」、アバの「ダンシング・クイーン」、そしてマルーン5の「メモリーズ」といった曲が見事にエディとヴェノムの心境とマッチしている。

(田中雄二)