-三度目となるお2人の共演はいかがでしたか。
柳楽 川栄さんとは初共演から6年くらい経ちますが、その間に3回も共演できるなんて、驚きです。役の関係は毎回違いますけど、初対面の相手と違って信頼関係ができているので、変に緊張することなく、安心してお芝居ができます。おかげで、初めての長久組でも「いい現場に参加できている」と実感する瞬間が多くて。
川栄 柳楽さんは今回、“ホストの幽霊”というちょっと奇抜な役ですけど、いつもすてきなお芝居をされるので、どんな役でも絶対的な安心感があるんです。その上、「僕が主演です!」という感じで変に張り切るわけでもなく、自然体で現場にいてくださるので、みんなもリラックスできましたし。
柳楽 確かに、「よし、今日は行くぞ!」みたいな感じではないね(笑)。
-実際に現場でお芝居をしてみた手応えは?
柳楽 今回は、やりたいことができる現場だったという充実感がありました。実は僕、20代の頃は自分を役柄に寄せていくことを意識していたんですけど、30代に入って考えが変わってきたんです。
-どのように?
柳楽 もうちょっと自分のパーソナルな部分に軸を置き、それが役柄と重なっていく…みたいな表現をしてみたいなと。以前、(ビートたけし役を演じた)「浅草キッド」(21)に出演したとき、役に寄せていく芝居を「やり切った」という達成感があったんです。それを境に、素の自分を大切にした方が、そこから生まれる感情が、いい方向に作用するんじゃないかと考えるようになって。裏返せば、役に対する最低限の責任さえ持っていれば、過剰なアプローチは不要で、無理に役に寄せて行っても、いい効果を生まない気がしてきたんです。その点、自然体でいることを許してくれた長久監督の現場は、そういう僕のコンセプトにぴったりでした。
川栄 『泣くな赤鬼』(19)でご一緒したとき、柳楽さんは減量してがん患者の役を演じられていたので、すごく大変そうでした。でも今回は、そのときと違って、とても自然体で。