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品川ヒロシ監督「監督としての僕の集大成」 アクション満載の青春活劇に込めた思い『OUT』【インタビュー】

-長嶋圭吾役の與那城奨さん、目黒修也役の大平祥生さん、沢村良役の金城碧海さんも、グループの“JO1”で活動している時とは印象が全く違いますね。

 彼ら3人には、いくつかの役を交代で試してもらって、見た目や芝居を含め、それぞれが一番ハマる役に決めていきました。確かに一見、JO1とは思えませんよね(笑)。他のキャストもみんな、オーディションでイメージに合った人を選んでいます。ただ、役がハマったのは僕だけの力ではなく、体を大きくしたり、鍛えたり、それぞれが役作りを頑張ってくれたおかげです。

『OUT』11月17日(金)全国劇場公開 配給: KADOKAWA
©2023『OUT』 製作委員会

 

-大きな見どころのアクションシーンも、それぞれ役者本人が演じていることがわかるように撮られていて、各キャラの魅力を引き立てています。

 僕は、ジャッキー・チェンが大好きなんですけど、ジャッキーはアクションをすべて自分でやっているんですよね。『OUT』では、さすがに全部とはいきませんが、なるべく本人にやってもらい、それが分かるように撮ることを大前提にしました。その分、みんな大変だったと思いますが、その必死さが映像に映り、リアリティーが生まれたと思います。

-マンガは絵さえ描けばどんなことでもできますが、それを忠実に実写化しようとすると、役者の負荷が大きくなります。この作品ではそういう部分もきちんと撮っていますね。

 あっちゃんがジャンプして、相手の顔をバシッと踏みつける、みたいな原作の象徴的なシーンは、多少難しくても、絶対に映像化しようと思っていました。「こんなのどうやったらできるんだろう?」というアクションを、みんなで試行錯誤して、「こんなの見たことない!」という映像に仕上げていく。それが今回目指したアクションの方向性です。せっかく映画にするんだし、風呂敷を広げて、もっと派手な「階段落ち」のようなアクションをやる、という選択肢もあったのかもしれません。でも今回は、それよりもできるだけ原作をリスペクトしようと。

-アクションシーンは見応えたっぷりで、大人数の集団戦も迫力満点でしたが、その分、撮影時の苦労も多かったのでは?

 大変でないシーンはなかったです(笑)。すべてのアクションシーンで、もう1日ずつ欲しかったくらいで。ただその分、「絶対に今日撮りきる。でも、納得しなければOKは出さない」みたいな気迫で僕は現場に臨みましたし、それがみんなにも伝わり、いい緊張感が生まれたんじゃないかと思います。

-そうすると、品川監督自身の中でこの作品はどういう位置づけになりますか。

 10年くらい前から、アメリカでインディーズのホラー映画を撮るのが僕の目標だったんです。そうしたら数年前、アメリカのプロデューサーから「アメリカで映画を撮ってみないか」という話がきて。そういうタイミングで、デビュー作『ドロップ』とも縁が深い『OUT』で、ぐるっと一回りしてまたヤンキー映画に戻ってきたことは、監督として僕が歩んできたこの14年間の集大成になったんじゃないかなと。ここで一区切りつけて、次のステップへ、という感じで、節目を飾る作品になったと思っています。

-お客さんにはこの映画をどんなふうに楽しんでほしいと思っていますか。

 僕は『戦国自衛隊』(79)や『セーラー服と機関銃』(81)、『里見八犬伝』(83)、『二代目はクリスチャン』(85)といった昔の角川映画が大好きなんです。友情も恋愛要素もアクションも入っていて、みんなでポップコーンを食べながら楽しめて、ちょっと泣けて、笑える、みたいなやつ。だから、この映画でもそういうテイストを目指しました。例えるなら、豚肉も牛肉も鶏肉もソーセージも入った、“うまいもの全部入りの鍋”みたいなイメージ。だから、皆さんもそんなふうに仲間とわいわい、気軽に楽しんでほしいですね。

(取材・文・写真/井上健一)

『OUT』11月17日(金)全国劇場公開 配給: KADOKAWA
©2023『OUT』 製作委員会