カルチャー

全国 8000件の発掘成果が集結「発掘された日本列島2026」開幕、3例目の木製仮面も

インタビューに答える文化庁の田中龍一文化財調査官

 リニューアルした東京都江戸東京博物館で、約5年ぶりとなる「発掘された日本列島2026」が開幕した。全国の最新の発掘成果を紹介する展覧会で、縄文土器や全国3例目となる木製仮面など、貴重な考古資料が並ぶ。展覧会を主催する文化庁の田中龍一文化財調査官に聞いた。

 

–こちらは何の会場ですか。

田中調査官

 ここは「発掘された日本列島2026」の展覧会会場です。とても広い展示室でかつリニューアルをされて新しくなった展示室ということで、非常に緊張しながら資料を並べました。

 

–展覧会の概要を教えてください。

田中調査官

 中核展ですが、主に「我がまちが誇る遺跡」「新発見考古速報」、そして二つの特集、さらに地域展からなる展示構成になっています。

 「我がまちが誇る遺跡」では岐阜県飛騨市、千葉県富津市、そして福島県・山形県・宮城県の三つの企画から構成されています。また「新発見考古速報」は旧石器時代から近代までの10の遺跡を対象に取り扱っており、これらすべてが見どころとなっています。

 発掘調査というのは日本国内で非常に多く行われており、年間でおよそ8000件もの調査が行われています。遺跡は全国で47万カ所もあります。今回展示する遺跡は、全国各地で行われている発掘調査の成果を広く皆様に見ていただこうというのが展示の趣旨です。まずは、日本全国にどのような遺跡があって、どのような資料が出土しているのかを実際に見て、体感をしていただければと思っています。

 

–展示品についてもう少し詳しく教えてください。

田中調査官

 「我がまちが誇る遺跡」の飛騨の縄文遺跡についてです。この地域は、北陸と信州との文化の移行地域であるため、文様や意匠、形などがいろいろな地域の影響を受けたさまざまな土器が混在しているというのが大きな特徴になります。器自体の形というのもあるのですが、縄文土器と一言で言いましても縄だけでつけた文様だけではないのです。いろいろな工具を使って文様をつけているのですが、そういった文様自体についても地域性が表れていると思いますので、ぜひそういったところをご覧いただければと思います。

岐阜県飛騨市の縄文遺跡で発掘された北陸系土器の影響を受けた土器。細い竹管状のもので曲線文様を描く「半載竹管文」が特徴

 弥生時代の終わりから古墳時代の始まりにかけての遺跡である西岩田(にしいわた)遺跡からは、図録の表紙にもなっている木製仮面が出土しました。非常に類例が少ない資料であり、邪馬台国の有力な候補地となっている奈良県の纒向(まきむく)遺跡や、同じく奈良県の大福(だいふく)遺跡などで出土していますが、それに次ぐ全国で3例目の出土になります。

 この木製仮面は目と口に穴を開けており、さらに鼻の部分が盛り上がるように加工されたものとなっています。おそらく両側には穴が開けられていたと考えられています。実際にどのように使われたかは分からないのですが、祭祀等において手に掲げたり、もしくは顔にかぶせたりした可能性もあります。

2023年4月に大阪府東大阪市の西岩田遺跡で見つかった木製仮面

–調査官のご専門は?

 

田中調査官

 私の専門は古代の瓦になります。今回、古代の奈良県興福寺旧境内・登大路(のぼりおおじ)瓦窯跡で出土した瓦を展示しています。瓦を焼いていた、生産していた遺跡ということで、生産遺跡ならではの遺物が出土しています。

 個人的なイチオシとしては、焼き歪んだ瓦です。複数枚が融着した平瓦を展示しています。当時の瓦を作る職人たちがいかに試行錯誤をしながら瓦を焼いていたかというのがよくうかがえる資料であると思っています。

 やはり瓦を研究している者とすれば、複数枚がくっついている平瓦というのは非常に興味深い資料でして、窯の中にどのように瓦を並べて焼いていたかということも分かる資料であるところが、大きな意味があると考えています。

奈良県の興福寺旧境内・登大路瓦窯跡から見つかった瓦。左から軒平瓦、焼き台として使用された複数枚の平瓦、焼き歪み融着した複数枚の平瓦

 

–全国各地から貴重な資料が集まりましたが、展示作業を進める中で特に印象に残ったものや、目を見張った資料はありましたか。

田中調査官

 山口県下松市の天王森(てんのうもり)古墳の埴輪は、並べてみて面白かったものです。実際に並べてみると非常にサイズも大きく迫力があります。特に大刀形埴輪は古墳時代の大刀の形を写実的に表現した埴輪であるということがよく分かりました。

2022年に古墳の周溝から出土した山口県下松市・天王森古墳の大刀形埴輪

 

–最後にメッセージをお願いします。

田中調査官

 今回展示をしている埋蔵文化財や遺跡は、全国どこにでもあるものであります。皆様がお住まいの地域においても、埋蔵文化財の発掘調査や展示などは行われているかと思います。ぜひ皆様がお住まいの地元の遺跡についても関心を持っていただき、足を運んでいただけると大変うれしいと思います。

小学生が制作したキッズ考古学新聞を眺める田中龍一文化財調査官