「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」。そんな悩みの背景には、睡眠時間だけでなく「寝姿勢」が関係しているかもしれない。
花王は、同社ヒューマンヘルスケア研究所が睡眠中の姿勢と睡眠の質、さらに日中の姿勢との関連を調べた研究結果を発表した。睡眠中の姿勢には人それぞれのクセがあり、その違いが睡眠の質や身体のコンディションに影響する可能性が示されたという。
近年の調査では、20~70代の約8割が疲労感を自覚していることが報告されており、特に20~40代の現役世代で疲労傾向が高いとされる。疲労回復の基本は適切な休養と睡眠だが、十分な睡眠を確保することが難しい現代社会で、睡眠の「質」を左右する要因の解明が求められている。
花王は2024年11月から12月にかけて、30~50代の男女196人を対象に、3軸加速度計測機能のある心拍計を用いて約1週間にわたり睡眠中の身体の向きや寝返り、自律神経活動などを測定した。その結果、多くの人は毎晩ほぼ同じ寝姿勢を取っており、寝姿勢には個人ごとの習慣があることが確認された。
さらに分析を進めると、横向きで眠る時間が長い人ほど寝返りの回数が多く、浅い睡眠が現れる回数も多い傾向がみられた。また、睡眠時間の半分以上を横向きで過ごす人のうち、常に左右どちらか一方を向いて眠る人は、睡眠中にリラックス状態を示す副交感神経の働きが高まりにくいことも分かった。副交感神経が優位になることは深い睡眠につながると考えられており、寝姿勢の偏りが睡眠の質に影響する可能性があるという。
研究では、日中の姿勢との関連も調査した。花王が独自に開発した歩行解析技術を応用して寝姿勢を解析したところ、横向き寝が多い人ほど身体のバランス(アライメント)のゆがみが大きい傾向が見られた。さらに、睡眠中に右側を上にして寝る時間が長い人は、歩行時にも身体が右方向へ回旋しやすい傾向が確認され、起きているときの姿勢のクセと寝姿勢が相互に関係している可能性も示された。
今回の研究は因果関係を示すものではないものの、「睡眠の質は寝姿勢にも左右される可能性がある」という新たな視点を提示した点が注目される。この研究成果は6月に開催された第22回日本疲労学会総会・学術集会で発表された。花王はこれらの知見を生かし、今後も睡眠や疲労、日常のコンディションに関する研究を進めていくという。








