居ながらにして山水画の世界をバーチャルに楽しむ、中国古来のいわゆる臥遊(がゆう)の現代版だ。東京国立博物館では、水墨画の巨匠、雪舟の名品を鑑賞するVR作品『雪舟 ―山水画を巡る―』(国立文化財機構文化財活用センター、凸版印刷・東京)の再上演をスタートした。雪舟の筆運びや奥行きある山水画の世界をVRで再現したもので、この作品が完成するまでのメイキング映像をニコニコ動画で初公開している。
VR作品に登場するのは、東京国立博物館所蔵の国宝「破墨山水図」(はぼくさんすいず)、「秋冬山水図」(しゅうとうさんすいず)、重要文化財「四季山水図」(しきさんすいず)の3点。力強い墨の線で構築された大胆な構図が特徴の雪舟。岩や山の遠近関係などをVRやアニメーションとして分かりやすく再構成しており、本来は鑑賞者の想像力で描かれた風景を楽しむ臥遊という鑑賞形態を、300インチの巨大スクリーン映像で表現。掛け軸に描かれた山水画の中に入り込むような臨場感あふれる体験ができる。期間は6月11日まで。鑑賞料金は高校生以上600円、小・中学生300円、未就学児・障がい者とその介護者各1人は無料。