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東出昌大「精いっぱい覚悟を持ってやり終えた」 映画『とべない風船』で妻子を失った漁師役

 映画『とべない風船』完成披露上映会が5日、東京都内で行われ、出演者の東出昌大、三浦透子、浅田美代子と宮川博至監督が登壇した。

 本作は、瀬戸内海の小さな島を舞台に描くヒューマンドラマ。数年前の豪雨災害で妻子を失い、心を閉ざした漁師の憲二(東出)は、疎遠になった父親に会うために来島した元教師の凛子(三浦)と出会い、ぎこちなくも優しい交流を通して、傷ついた心を癒やしていく。

 2018年に発生した西日本豪雨を題材として描いた本作は、広島で先行上映を実施した。

 宮川監督は「実際に腰まで土砂に埋まった方や、災害で大切な人を失った方など、いろんな方と上映後にお話をする機会を頂いた。皆さんに『(映画は)よかった』とおっしゃっていただけたので、完成させることができてよかったです」としみじみ語った。

 東出も「豪雨災害で被災された方が、この映画をご覧になると、傷口をえぐるではないですけど、もしかしたら塩を塗り込むぐらい、きつい思いを追体験させてしまう可能性もあったので…」と、当初は不安があったことを明かした。

 それでも、「僕らも精いっぱい覚悟を持ってやり終えた。お客さまが、僕らに声を掛けてくださるときに、『思い出していっぱい泣いたけど、でも撮ってくださってありがとうございました』と最大級の言葉を頂けたので、今胸を張って、ここに立っていられます」と語った。

 また、クランクインの前から、宮川監督と一緒に広島に入ったという東出は「漁師さんに船を出していただきながらお話を伺ったり、いろんな人たちの力を借りて憲二という役が出来上がった。どういうふうに演じよう、見せようということではなく、監督と一緒に、“憲二になること”に集中して役作りをやっていった感じです」と振り返った。

 そんな東出と共演した三浦は「お会いすると肌が(日焼けで)真っ黒で…」と笑いながらも、「誠実に取り組んでいる姿を私もそばで見させていただいた。本当に漁師さんみたいだったし、率先して現場のものを動かしたり、手伝ったり…。本当に周りのことをずっと気遣いながらそこにいてくれました」と明かした。

 映画は2023年1月6日から公開。