涼風が吹き抜ける那須高原で、バーベキュー料理とできたてのビールを堪能。春から秋にかけてぴったりの施設が、栃木県のサッポロビール那須工場に併設されている「那須 森のビール園」だ。一部の飲食店でおなじみの「白穂乃香」「琥珀ヱビス」などに加え、那須工場限定醸造のプレミアムビール「陽ざしのピルスナー」「流れる雲のヴァイツェン」「月夜のデュンケル」を、できたてで味わうことができる。
JR東北本線の黒磯駅から那須御用邸に向かう那須街道沿いに工場がある。濃い緑の森に囲まれビール工場というよりも、大きな洋風の館といった風情だ。都会の喧噪を離れ、静かに週末を過ごしたいと思わせるような落ち着いた雰囲気に包まれている。陽光が差し込むビュッフェスタイルのレストランは700名収容と広く開放感にあふれ、ライオンなどでおなじみだけに料理も和洋中と豊富だ。那須高原を巡るツアーに組み込まれることも多い人気スポットだけに、食事時は老若男女の歓声と笑い声があちこちではじける。食べ放題のブッフェのほか、別料金でジンギスカンや牛肉などの焼肉料理を楽しむことができる。そして、喉に流し込むできたてのビール。至福の瞬間だ。
レストランの奥には二百名近くが入る大きなホールも。グランドピアノやアンプ装置が置かれ、クラシックやジャズのコンサートも開かれる。スポーツチームなどの団体も会合をホールで開催しレストランで食事と、地元の人たちにも親しまれている。ビール園の案内を担当している斎藤真由美さんは「春から夏は涼しさを求めるお客様が中心ですが、秋は紅葉が素晴らしく、年配の方も大勢いらっしゃいます。家族連れからグループ、ツアーのお客様まで、誰もが楽しめるのが森のビール園です」と魅力をアピールする。
元々は地ビール製造の銀河高原ビールの工場だった。2006年にサッポロビールが譲り受け、自社ブランドビール製造とレストラン営業に乗り出した。全国にある他の工場に比べ生産能力は3分の1程度だが、逆にその機動性を生かし他にはない独自の品種の開発、製造に力を入れてきた。現在、静かなブームを呼んでいる「白穂乃香」は、那須工場が開発した新商品第一号だ。工場の見学も自由で、ビール製造の仕組みがコンパクトに展示されている。那須工場だけの取り組みが「手づくりビール工房」。仕込みから発酵の工程を社員の指導で体験し、約1カ月後に自分が仕込んだビールを自宅に送ってもらえる体験教室だ。今年は8月と9月に予定されており、葉書で応募を受け付けている。詳細は森のビール園のHPで。