カルチャー

橋の上からの眺めは壮大 レインボーライドに感動、片山右京氏

 東京五輪のレガシー(遺産)として、スポーツとしての自転車の魅力を伝える「GRAND CYCLE TOKYO」が勤労感謝の日の11月23日、東京都江東区の臨海副都心付近を会場に開かれた。目玉は、レインボーブリッジを自転車で渡る「レインボーライド」。当日はあいにくの雨だったが、抽選で選ばれた2000人が、眼下に東京湾と港を望みながら東京新名所を走った。参加者からは「素晴らしい機会だった」と感動の声が寄せられた。

レインボーライドの模様(東京都提供)
レインボーライドの模様(東京都提供)

 映画やテレビでおなじみの有名な橋を自転車で渡るという何とも魅力的な催しに、定員の約400倍の応募があった。ただ、当日は雨の上に警備上の制約などもあって、報道ではその魅力を十分に伝えきれていなかった。自らもペダルをこいだイベント実行委員長の片山右京さん(ジャパンサイクルリーグ=JCL=チェアマン)は「橋の上からの眺めは壮大でした。こんなポテンシャルを秘めたイベントがあるだろうか」と感激を話した。天気に恵まれ、多くの人が体験したなら賛辞の声はもっと広がっただろう。

ジャパンサイクルリーグ・片山右京チェアマン
ジャパンサイクルリーグ・片山右京チェアマン

 燃料を使わず環境にやさしい乗り物として価値が見直されている自転車と、全国各地にある景色にすぐれた橋や道路を組み合わせると、どこでも爽快なサイクリングの舞台が出来上がる。しかし、現実は自動車と併走することで安全を優先し、交通規制による渋滞を避けるため、自治体や警察は道路の独占使用許可を出すことに慎重にならざるをえない。十分な安全対策を施すと高額の経費も伴う。

 東京五輪組織委員会で自転車競技の責任者を務めた片山さんは、工夫次第で費用は軽減できると主張する。「今までは一人で戦って孤立していた」そうだが、今はスポーツ界だけでなく政治家や官僚にも人脈を広げ、理解者を増やすことに努めている。さまざまなアイデアも描いており「レインボーライドはいずれ世界的なイベントになる」と自信を見せる。

 JCLが目指しているのは、世界最大のロードレース「ツール・ド・フランス」への日本チームの出場、そしてその先にある勝利。競技力を上げるために世界基準のロードレースを日本各地で開催することと同時に、自転車文化を根付かせることも事業の柱だ。2022年9月には高知県宿毛市で、高速道路を舞台にしたロードレースが開催された例があり、各地で「オラが街のレインボーライド」が誕生する可能性は十分だ。