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ミュージカル「RENT」に再び挑む、花村想太&平間壮一「この作品全体がロック」【インタビュー】

 5人組男性アーティスト「Da-iCE」のメンバーとしても活躍する花村想太と、俳優の平間壮一がダブルキャストで主人公のマーク役を演じるミュージカル「RENT」が3月8日から開幕する。本作は、1996年の初演以来、ブロードウェーで12年4カ月のロングラン、世界40カ国以上で上演されている人気作。日本では、98年に初演されて以降、再演を重ねてきた。20年の公演では、今回同様、花村と平間がマーク役を演じたが、新型コロナウイルスの影響を受けて公演中止に。今回は、その悔しさを晴らすべく2人が再集結した。花村と平間に公演に懸ける思いやマーク役についてなどを聞いた。

花村想太(左)と平間壮一 (C)エンタメOVO

-20年の公演は不完全燃焼のまま終わってしまっただけに、今回の再演が決まったときはうれしかったのでは?

平間 素直にうれしかったです。やはり、途中で終わってしまった悔しさもありましたから。

花村 僕は、もちろん途中で終わってしまったことは悔しかったのですが、同時に満足感もあったので、どこかやり切ったという思いもあったんです。なので、もう1回、マークを演じることはあまり想像していなかったんですよ。ただ、車である現場に向かっているときに、何千曲の中からランダムで「Seasons Of Love」(※本作の劇中で歌われる代表的な楽曲)が流れてきたんです。それで、現場に着いたらこの作品の再演のお話を頂いたので、これはやれということなのかなと思って、出演を決めました。

平間 それはすごいね。

花村 運命を感じて、ドキッとしました。やっぱりまだやり残していることがあったのかもしれないと、もう1回挑戦したいなと思いました。

-平間さんは悔しさが大きかった?

平間 それもありましたし、前回はマーク役として、勝手に頑張り過ぎてしまったんです。引っ張っていかなくてはいけないと無理をしていたところがあったので、それもあってまた今度はしっかりと作品に向き合いたいという思いが強くありました。

-前回の公演を経て、マークに対する思いや演じる上での意識は変わりましたか。

花村 マークは、演じている僕もどんな人物かよく分かっていないんですよ(笑)。ほかのキャラは世界中、どの国の公演でも「こういうキャラだ」というのが定まっているんですが、マークだけはそれがない気がします。帽子をかぶっていないマークもいれば、眼鏡をかけていないマークもいるし、歌が得意なマークもいればダンスがうまいマークもいる。だから、マークはどんな人なのか分からない。

平間 誰よりも自由だよね。

花村 ただ、不意に寂しそうな顔を見せたり、どこかに孤独は必ず持っているんです。物語の主人公ではあるけれども、自分が真ん中にいるとは思っていない。

平間 傍観者なんだと思います。一般的に生きていける人を等身大で描いたらマークになったという感じなのかな。

-ではそんなマークを花村さんと平間さんが演じると、それぞれどんなところに個性が現れていると思いますか。

平間 僕が演じるマークは、偽善者という印象が強いのかなと思います。

花村 僕は日本人にありがちな、明るく元気に見せているけれど、 実は全くなじめない人をイメージしています。一見すると楽しそうに人の輪の中にいるんですが、自分が話すとシーンとなる人いるじゃないですか。僕もそうなんですが(笑)。なんだか空回りしてしまう人なのかなと思います。

-(取材当時)平間さんは、すでに稽古が始まっていると聞いていますが、稽古を通して新たな気付きはありましたか。

平間 まだ(日本版リステージ担当の)アンディ(・セニョールJr.)からも何も演出がないので、これでいいのかなと手探りで演じている感じです。

花村 でも、マークはそういう立ち位置なんだと思います。「これでいいのかな」と思いながら、ステージに立って、正解ってなんなんだろうと考え続ける役なんでしょうね。

-前回の公演のときも、初日が明けても正解を模索し続ける毎日だったのですか。

平間 放置されていることが多かったかもしれません(笑)。楽しそうだから、君たちはそれでいいという感じでした。

花村 僕は、毎公演が終わった後に、「今日はDa-iCEだったね」とか「今日はマークだったよ」と言われていました。意識はしていなかったんですが、テンションやそのときの気分で変わるみたいです。

-平間さんには、そうした声掛けはありましたか。

平間 あったと思いますが、あまり覚えてなくて…。ただ、「悲しさを強く出すのではなく、その悲しさを祝福やパワーに変えて」というアドバイスをもらったのは覚えています。