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ハイセンスから同社史上最高画質の4K液晶テレビ「UX」が誕生 ハイクラスモデル「U8K」ともども、注目すべき理由とは?

BS/CS4Kチューナー内蔵液晶テレビ「UXシリーズ」

 賢い買い物がしたいとは誰しもが思うこと。大画面テレビのような値の張る家電製品ならなおさらだ。高画質に加え、高音質・多機能、だけど価格は控えめの大画面テレビ、そんなうまい話があるわけない・・・こともないかもしれない。

 ハイセンスジャパン(川崎市)は、4K液晶テレビの同社最高峰モデル「UXシリーズ」(75V/65V)と、ハイクラスモデル「U8Kシリーズ」(75V/65V/55V)を5月18日に発売すると発表した。この2つのシリーズに共通する特長は、4K液晶テレビの最新トレンドである、MiniLEDと量子ドット技術を搭載していること。4K液晶テレビは、この2つの技術によって新時代に突入したといわれ、昨年から各社の高級液晶テレビに続々と採用されている。「それじゃあ、さぞかしお高いのでは?」というのが常識的な反応だが、ハイセンスが今回発表したシリーズ(いずれもオープン価格)は、国産他社の同クラスモデルと比較しても、驚くほどお値打ちだという。高画質だがお値打ち、その秘密はどこにあるのだろうか。

 そもそも、ハイセンスといわれてもピンとこないという人もいるかもしれないが、中国にルーツを持つハイセンスグループは、全世界での売り上げが3.5兆円という巨大な企業。2022年のテレビの出荷台数が世界第2位と、世界では大きな存在感を放つブランドだ。

 2010年に日本法人として設立されたハイセンスジャパンは、2011年にテレビの販売からスタートし、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなども扱う総合家電メーカー。注目すべきは、2018年に「レグザ」で知られる東芝映像ソリューション(現TVS REGZA)がグループ入りしたこと。テレビの映像エンジン部分を共同開発し、日本基準の画質を実現したのだ。

 つまり、グローバルでの量産によるコストメリットと、TVS REGZAと共同開発した高画質技術、それを併せ持つのがハイセンスのテレビというわけだ。では、新たに発売される2つのモデルを見ていこう。

 ■画質を決めるディスプレイと映像エンジンを新開発

 ハイセンス史上最高画質とうたわれているのが「UXシリーズ」。実は昨年の6月、同社はフラッグシップモデルU9Hシリーズを発売している。1年足らずでそれを超える新たな最高峰が誕生したわけだ。

 高画質へのさらなる挑戦ということで、UXシリーズは6つのテーマを持って設計されている。「業界トップクラスの明るく豊かな色表現」「業界トップクラスの高コントラスト」「繊細で先鋭感のある高解像度」「倍速パネルとフレーム補完によるなめらか動画」「斜めから見てもくっきり見える広い視野角」「映り込みが少ない低反射ディスプレイ」の6つだ。

「ダイナミックXディスプレイ」の基本構造

 テレビの画質を決めるのは、ディスプレイと映像エンジン。UXシリーズでは、その2つの重要ポイントに注力。構造そのものから見直した「ダイナミックXディスプレイ」と、「HI-VIEWエンジンX」を新たに開発して搭載することで、同社のテレビの画質を1~2ランク上げたという。

 新開発「ダイナミックXディスプレイ」は、圧倒的な高コントラストに加えて、明るさ、豊かな色表現、滑らかさ、広視野角を実現するハイセンス独自設計ディスプレイパネルだ。液晶ディスプレイのバックライトを、従来より小さくして個数を増やすことで映像表現をよりち密にするのが「Mini LED」という技術。昨年発売のU9Hでも採用されていたが、UXではそれに比べMini LEDの個数が75型で約2.5倍、65型で約1.9倍に増加した。Mini LEDの数が増えているので当然明るさもアップし、75型で150%、65型で115%明るくなっている。また、新たに「量子ドットダイナミックカラー」を採用することで、色域を拡大して発色の良いリッチな色表現を可能にする「量子ドット」技術がさらに進化。光の三原色RGB(赤・緑・青)の純度を高め、よりリアルできれいな色彩を実現している。

「量子ドットダイナミックカラー」は青だけでなく緑と赤もしっかり出せる
「ローカルディミング アドバンスト」のイメージ

 いま、高画質テレビといえば有機ELといわれるが、ハイセンスは、UXシリーズは有機ELに迫る高画質だと自負する。その理由はいくつかあるが、最も重要なポイントが、「ローカルディミング アドバンスト」という技術だ。「ローカルディミング」とは、画面を細かく分割して Mini LED の光の点灯を制御する技術。それを、従来よりさらにエリアを細かく分割することで、コントラストが各段にアップ。黒いところはより黒く、明るいところはより明るく再現できるようになり、映像の高度な奥行き表現が可能になったのだ。

「HI-VIEWエンジンX」はTVS REGZA社と共同開発(写真はイメージ)

 新搭載「HI-VIEWエンジンX」はTVS REGZA社と共同開発。最大のポイントは、16bitで制御しているというところ。従来(U9H)の12bit 4096諧調 → 16bit 6万5536諧調と、諧調表現(グラデーション)が桁違いに細かくなっている。この16bit大容量信号処理をベースに、最新の高性能AI技術を用いることで、4つの画質改善が行われた。

 ① 立体感復元超解像技術(ナチュラルリアリティー機能):AIが被写体と背景を識別。人間が見ているような奥行きと立体感のあるリアルな映像を実現。

 ② 美肌リアリティーアドバンスト(AI顔認識機能追加):色の不自然さが気になりがちな人肌の部分を顔認識機能で検知し、より自然な色に自動補正。

 ③ AIネット映像高画質処理アドバンスト(ナチュラルグラデーション機能):ネット動画を見ているとよく出てくるバンディングノイズ(なだらかなグラデーションが地図の等高線のように段階的に区切られてしまう現象)を改善。

 ④ AI放送映像高画質処理アドバンスト(ノイズリダクション強化):地デジやBSデジタル放送映像のさまざまなノイズを削減。

「美肌リアリティーアドバンスト」のイメージ
「AIネット映像高画質処理アドバンスト」のイメージ

 フラッグシップモデルということでサウンド面にも力が入った。搭載するスピーカーは、フルレンジスピーカー×2、ツイーター×2、重低音サブウーファー×2、サイドスピーカー×2、立体音場用イネーブルドスピーカー×2と、合計10個。実用最大出力は82Wだ。映画館のような臨場感を味わうための立体音響技術Dolby Atmosも搭載した。

 機能面も充実している。いまやテレビ放送よりも見る時間が多いという人も少なくない動画配信は、なんと17社に対応。同社は従来から12社に対応していたが、新たに5社(TVer、DAZN、NHK+など)を追加した。NetflixやYouTubeなど10社は、ボタンを押すとテレビの電源が起動し、押したチャンネルが映るVODダイレクトボタンも装備。これは実に便利だ。

17社の動画配信サービスに対応

 もちろんゲーム対応もフル装備。プレステ5を直接つないで楽しめる4K 120Hz入力対応や、ゲームをするときには必須のVRR(バリアブルリフレッシュレート)にも対応。ALLMやAMD Free Sync Premiumにも対応し、ゲーム愛好者にも安心して使ってもらえる大画面テレビになっている。

 そのほか、UXに接続したHDDで録画した番組を別の部屋のテレビ(クライアント機能付き)で楽しめる「Anyviewホームサーバー」、スマートフォン(iPhone、アンドロイド)の画面をテレビの大画面でシェアする「スクリーンシェア」、YouTubeの動画検索の際に音声で入力できる「VIDDAボイス」など便利機能も満載。Bluetoothにも対応しているのでワイヤレスヘッドホンなどを接続して楽しむことができるし、リモコンは赤外線だけでなくBluetoothの信号も使用しているので、リモコンをテレビに向けなくても操作が可能だ。

「VODダイレクトボタン」を装備したリモコン

 ■UXと機能面でまったく同等のU8Kは画質も健闘

 「U8Kシリーズ」は、画質・音質はUXより少し劣るとはいえ、一般的な4K液晶テレビの上に位置するハイクラスモデル。スタンダードな液晶テレビを少しステップアップしたいという人におすすめだ。

BS/CS4Kチューナー内蔵液晶テレビ「U8Kシリーズ」

 画質面では、明るい画面を実現する「MiniLED」(個数はUXより少ない)、豊かな色彩を実現する「広色域量子ドット」、高コントラスト「ローカルディミングPro」、なめらかな動画で目が疲れない「倍速パネル」、斜めから見てもきれいな「ADSパネル」、4K高画質を実現する「HI-VIEWエンジン」などを装備。UXのエッセンスをしっかり取り入れている。

 音質面では、スピーカーをメイン×2、ツイーター×2、サブウーファー×1と5個搭載。最大音声出力40Wとスケールダウンしているものの、Dolby Atmosにも対応している。さらに、機能面では、UXとまったく同等なのがうれしいところだ。

 実は当編集部は、ハイセンスジャパンの本社ショールームで行われたUXとU8Kの内覧会に参加。実際に試聴も行った。内覧会では、国産他社の同クラス現行モデル1台も用意されており、じっくりと比較試聴することができた。UXと他社製品の映像を見比べて、一目で気が付いたのは、色が濃く、鮮やかで正確なこと。例えばリンゴの色が、UXが深みのある赤だとすると、他社のは少しオレンジ色に見えたのだ。それから暗部と明部のコントラスト、諧調表現もUXは素晴らしい。他社機は色が薄いせいか全体に明るく感じるのだが、黒く沈み込んでほしい部分まで明るく見えるのが気になった。精細感にはそれほど違いを感じなかった。最も大きな違いは、横から見た時の映像だ。他社機は色が白っぽくなるのに対して、ハイセンスの製品はほとんど色が変わらないのに驚いた。また、ネット映像を見た時に、グラデーションの部分が他社機に比べUXは滑らかなのも印象的だった。

 U8Kはどうか。実は、1台ずつ見ると、色調などの絵作りが統一されていて、UXとU8Kのパッと見の印象はほとんど同じ。あれっと思う。だが、UXとU8Kを並べて同時に見比べてしまうと、やはりUXの解像感や映像の情報量は一段も二段も上だ。どんな細かい情報もしっかり見たい人にはUXだ。だがU8Kもかなり健闘している。女優の細かいしわや化粧の状態までは見たくないという人はU8Kで十分なのかもしれない。

 ハイセンスジャパンは、2023夏の「キャッシュバックキャンペーン」を5月18日~7月31日に実施予定。同社のテレビ、冷蔵庫、洗濯機の対象製品購入者に、抽選で最高10万円のVISAデジタルギフトが当たるという。もちろん、今回発売するUXシリーズ、U8Kシリーズも対象だ。この2モデルが気になった人はこちらのキャンペーンもお忘れなく。