能登半島地震で幕を開けてしまった2024年。お正月の穏やかさを奪われた被災地を思うと、新年祝賀も意気込みも吹き飛んでしまう。特に高齢者や小さな子どもたちなどは、心身ともに心配なことも多い。ユニセフ(国連児童基金)は「あらゆる自然災害で、最も困難な状況に置かれてしまうのは子どもたち」と指摘、「災害時の子どもの心のケア」を行う際の4つのポイントを紹介している。
災害は一瞬にして日常を奪い、私たちを不安に陥れる。大人でさえ自分たちのことで手一杯になってしまいがちな状況の中、子どもたちが抱える不安の大きさは想像に難くない。被災地だけではなく、長時間にわたってその様子が伝えられた2011年3月の東日本大震災では、多くの専門家が、画面を通じて子どもたちが受ける影響を指摘している。そこで子どもの心に落ち着きを与え、トラウマ(心的外傷)の傷口を最小限にするため、一番身近にいる大人ができることを紹介したものだ。
まずは「安心感」を与えてあげること。いつもよりも少し意識して、親や周りのおとなが一緒にいる時間やスキンシップを増やすこと。可能なら、家族で一緒に楽しく遊ぶ時間を持てればなおいい。子どもの不安を笑ったりせず、子どもたちの言うことに耳を傾け、疑問や心配に思うことには、簡単な言葉で穏やかに、そして正直に答えてあげることが大切だという。子どもが心に抱く恐怖を言葉にすること、そしてそれを誰かがちゃんと聞くことが重要だからだ。
二つ目は「日常」を取り戻す手助け。可能な限りふだんの習慣を保つこと。食事、歯みがき、着がえ、睡眠時間をふだん通りに保つことが、子どもたちを安心させる手助けになる。避難所でも、子どもが安心して遊べるスペースをつくることも大切だという。
三つ目は、被災地の映像を繰り返し見せないこと。映像や画像が伝える事実を十分に把握できない小さい子どもたちは、大人以上に映像や画像から大きな衝撃を受ける可能性がある。自分を中心に世界やものごとを捉えるため、見たものや聞いたものが自分と無関係とは思いにくく、被災地でなくても「同じようなことが自分の近くでも直ぐに起きるのではないか?」と不安になってしまいかねない。
最後に、子どもたちが自分で回復する力を持っていることを信じてあげること。イライラしたり、興奮しやすくなったり、不眠や食欲不振、学校に行かず親のそばを離れたがらないなど、一時的なさまざまな行動や様子を示し、大人との信頼関係や、自分の生活の安定を確認する。そんな子どもたちを見守ってあげることも大切だ。