算数の「ひらめき」が身につく、というのは魅力的だ。すでに得意な理系頭の人より、どうしたら数学的センスを身に付けられるだろうと悩む文系頭の人にとって、遊びながら図形の感覚が身につけられるというのはうれしい。『絵解き 和算ドリル』(西田知己著、小学館、税込み1320円)が発売された。つるかめ算・旅人算ほか、和算の考え方を徹底解説している。中学受験はもちろん、上記のような“大人の脳トレ”にも使える。
そもそも「和算って?」と尋ねたくなるが、数や形の遊びから、高度な円周率の計算や微分・積分など、江戸時代の日本で花開いたユニークな算数・数学の文化のこと。明治時代以降、ヨーロッパ生まれの「洋算」とは異なる日本独自の算数・数学の呼称だ。
ドリルでは、まず和算をゲーム感覚で楽しめるよう、江戸時代に作られた色板パズルが2種類、付録になっている。一つは1742年に出版され、大ヒットした『清少納言 知恵の板』。この色板を紹介した大正時代の本では、この7枚の板で作ることができる形を42種類も紹介しているのだそうだ。その中から色板の表(おもて)面だけで作れる17種類を紹介している。
さらに、江戸時代に作られたつるかめ算や旅人算、油分け算など、中学受験にもよく出てくる問題を厳選して収録している。