社会

特派員協会で「熊本ナイト」 観光・産業誘致へ魅力アピール

くまモンと記念撮影する熊本市の大西一史市長と日本外国特派員協会のサイモン・ファレル監事

 九州の中央に位置し豊かな自然や歴史・文化に恵まれるとともに、近年は目覚ましい経済発展も遂げ産業都市の一面も持つ熊本市は2月3日、国内外からさらなる観光客や産業を誘致する目的で、東京の日本外国特派員協会で「熊本ナイト」を開催した。大西一史市長は「熊本県は外国人増加率が日本トップ。世界に向けたプロモーションの最大のチャンスが訪れている」と力を込めた。約60人の参加者は、熊本県産の食品やアルコールなどに舌鼓を打った。

熊本市農水局のブースを見る参加者

 ▽ぜいたくな入浴

 「2016年熊本地震の被害から復興する熊本城」「世界に学ぶべき事例といわれる水の都市」「今後10年で11兆2000億円の経済効果」「国際会議やイベントの開催」「どこへ行ってもおいしい食べ物」――。大西市長のアピールは多岐にわたった。中でも参加者の関心を集めたのは、市民の生活用水をすべて賄っているという地下水だ。「蛇口をひねればミネラルウオーターが出てくる。お風呂もトイレも全部その水を使っている」と市長。「換算すると一度の入浴は6~7万円の価値」と笑いを誘った。

 経済発展を担う中心は、昨年稼働を始めた台湾積体電路製造(TSMC)。27年末までに第2工場も設置され、新規に3400人の雇用が生まれる予定。県内外から若手エンジニアを引きつける。食べ物の紹介では、スクリーンに市長自らがスイカにかぶりついている写真を映し出し「4~5月に取れる春スイカ。これがむちゃくちゃ、おいしんです」。地震で石垣が崩れるなど大きく倒壊した熊本城は、完全復旧にあと27年かかる。「復旧工事が見えるように特別の通路を設け、力強く立ち直る『復興の過程』を見てもらっている」と説明した。

熊本市の金山武史・農水局長

 ▽人間の力

 肉から野菜、米、日本酒、焼酎、ワイン・・・・・・。ずらりと並んだ食べ物に参加者は大いに満足した。中でも人気が高かったのはかんきつ類やイチゴといったフルーツ。60代の男性は「こんなみずみずしい果物は食べたことがない」と感心していた。熊本市の金山武史・農水局長は「熊本の農業をひと言で言うと『人間の力』」という。「若い農家が専業で本気で取り組んでいる。国内はもちろん香港、シンガポール、台湾を中心とした海外の販売ももっと伸ばしたい」と説明した。

 「近いうちに久しぶりに帰省する」と熊本県益城町出身の40代女性。ほとんどの参加者が「ぜひ行ってみたい」と口をそろえた。熊本市の村上和美・経済観光局長は「マーケティングの中心はインバウンド(外国人観光客)。泊まって、飲食して、体験して、お土産を買ってと、どんどん消費をしてほしい。目標は年間1300億円」と景気のいい数字を挙げた。

 英国と南アフリカの国籍を持つサイモン・ファレル日本外国特派員協会監事は「熊本は歴史、文化、自然、食、酒などが美しいのはもちろんだが、イノベーションカンパニーがあり投資を通じた外国との結びつきが強まっているところが、ほかの地方都市と違うユニークな魅力だ」と話した。

熊本市の村上和美・経済観光局長