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業況が良い中小企業は積極的にDXを推進 DX推進している多くの中小企業で成果を実感

大同生命サーベイ「中小企業のDX推進」

 大同生命保険(大阪市)は全国の中小企業経営者を対象に、景況感に加えさまざまなテーマを設定したアンケート調査「大同生命サーベイ」を2015年10月から毎月実施している。2025年1月度のテーマは「中小企業のDX推進」。全国の6996社の中小企業経営者を対象に、1月6日から31日にかけて訪問またはZoom面談で調査を行った。

 まず、デジタル技術を活用してビジネスや社会の形を変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について、「名称を知っている」と回答した経営者は全体の70%。そのうち、「内容も知っている」経営者は37%で、前回の同テーマの調査(2024年3月)から3ポイント増加したものの、全体的にまだ認知度は低水準だった。「DX」という名称・内容ともに知っている人の割合を従業員規模別に見ると、「21人以上」66%、「11~20人」44%、「6~10人」32%、「5人以下」27%と、規模が小さくなるほど認知度が下がった。

【DXの認知度】

 

 DXの推進状況について、「既に推進している」企業は25%。「検討中」(11%)と「推進の必要性を認識している」(17%)が合わせて3割弱。業況別に見ると、「業況が良い」企業の経営者は35%、「普通」は25%、「悪い」は21%がDXをすでに推進していると回答。「業況が良い」企業がDXを推進している傾向があった。

 

【DXの推進状況】

 DX推進の具体的な内容としては、「デジタル化・ペーパーレス化」が71%で最多。以下「営業、販売ツールとしてホームページ、SNSの活用」(56%)、「電子決済の導入」(44%)、「クラウドサービスの活用」(42%)、「会議や営業活動など業務のオンライン化」(40%)だった。レガシーシステム(過去の技術や仕組みで構築された古い基幹システムやソフトウエア)の更新について、「すべて更新済み」と答えた経営者は15%にとどまった。18%の経営者は「レガシーシステムがあるかわからない」と回答した。

 DXを推進していると答えた企業の経営者1582人に具体的な成果(複数回答)を聞くと、1位は「業務の効率化」(81%)。2位が「コストの削減」(47%)、3位が「柔軟な働き方の推進」(27%)だった。「成果は出ていない」と答えた経営者は5%で、DXに取り組んでいる大部分の企業で成果を実感している様子が浮かび上がった。

 

【DX推進の成果】 ※DXを推進している経営者からの回答

 「推進を検討中」「推進が必要だが、できていない」と答えた経営者にとっての課題は、「ノウハウがない」(30%)が最も多く、「ITに詳しい人材がいない」「予算がない」が同率(22%)だった。期待する支援策(複数回答)は、「補助金・助成金の拡充」(57%)が最多。以下、「補助金・助成金の周知」(32%)、「行政や専門家による相談窓口の設置」(15%)、「DX推進事例の共有」(14%)、「セミナー・研修会などの開催」(13%)だった。

 企業の経営者たちからは、「自分の会社では取り入れたいが、相手企業が全然DX化していないためなかなか推進することができない。企業全部で取り入れていけるような支援策を促してほしい」(情報通信業/東北)、「補助金・助成金はありがたいが、後から支払われるので、自分で資金を用意できない企業への支援を考えてほしい」(建設業/北陸甲信越)、「中小企業にとってDXの設備投資は資金的にも人材的にもハードルが高い。補助金等の申請も複雑で、自分たちで申請書を作るのは困難。もっと簡素化されれば利用しやすい」(医療・福祉業/九州・沖縄)など、支援体制への具体的な要望も上がった。