風邪薬「ルル」や解熱鎮痛薬「ロキソニン」など、医師の処方せんがなくても購入できるOTC医薬品をはじめ、機能性スキンケア・オーラルケア・食品を展開する第一三共ヘルスケア(東京)は、今年度、全国の高校生を対象に、「セルフケア」を学ぶ出張プログラムを実施している。
このプログラムでは、8~12コマの出張授業を通して、参加した高校生たち自身がセルフケアの重要性を認識し、市販薬の正しい使い方や選び方、スキンケア、オーラルケアについて学ぶ。さらに受講した高校生たちが、知識を得るだけではなく、授業で学んだ知識をもとに動画を制作。「セルフケアアンバサダー」として、同世代へ情報発信する取り組みを通して、偽情報や誤情報に惑わされず、正しい情報を見極めて取得できる力を養うことを目的としている。
出張授業に参加する高校を全国から募集し、東京・福井・静岡・大阪・福岡の全国5校が決定。東京では、7月から授業を重ねてきた。中村中学校・高等学校(東京都江東区)と成女高等学校(同新宿区)が合同で参加するプログラムで、7コマにわたる学びを経て制作した動画を披露・発表する最終の授業が、9月11日に中村中学校・高等学校で公開で行われた。
出張授業は、授業外の探求学習的な位置付けとして参加生徒を募り、放課後や土曜などに行われてきた。今回の最終授業は、4つのグループが、「スキンケアのHow to」「市販薬選びのHow to」「市販薬のいろは」「食生活・栄養のいろは」のテーマに沿って制作したショートとロングの動画を発表した。
各グループが、工夫した点や、チームとしての取り組みの様子などのプレゼンテーションを行った後に、動画を発表。SNS等で「動画」というものに日常的に触れることも多い世代。ストーリーの組み立てや見せ方にもそれぞれの工夫が施され、笑いと笑顔があふれる発表会となった。そして、「メッセージの明確さ」「表現・構成の工夫」「内容の信頼性・正確さ」「斬新さと面白さ」を基準に、各生徒たちの自分以外のグループの動画についての採点と、第一三共ヘルスケアの担当者2人、各高校の先生2人の採点を加え、順位が発表された。
ショート動画1位は、「スキンケアのHow to」をテーマにしたグループ。「洗顔の際にどこから洗うのがよいか」「肌のバリア状態が最も保たれている季節はいつか」などの問題に、動画を作成した生徒たちが、その場で初めて問題を聞いて〇×で答える様子と、出典を明記した解説付きの正解をまとめた。第一三共ヘルスケア・サステナビリティ推進マネジャーの岩城純也氏は、「動画制作者たちのリアルな回答の様子から、こういうことが知られていないのか、こういうところが間違えやすいのかなど、私たちにも気付きがあった。解説の出典もしっかり書いていてくれた」と評価した。

ロング動画1位は、「食生活・栄養のいろは」をテーマにしたグループ。ダイエットのために食事を減らしている生徒が、大好きなダンスでも疲れやすくなってしまったこと、しっかり食事を取るようにしたらパフォーマンスが上がった様子など、「しっかりごはんを食べる大切さ」を、動画を通して伝えた。Z世代に好かれる曲を使ったり、NGシーンなども交えたりして、視聴者が途中で飽きて見るのをやめてしまわないための工夫を凝らした点が高く評価された。

総合部門1位は、「スキンケアのHow to」をテーマにしたグループ。2位とは僅差だった。メンバーたちからは、「仲間とアイデアを出し合ったり、先生にも動画に出てもらうなど協力をしてもらったりして動画が制作できたことに感謝している」「動画制作の中で、親にもアドバイスをもらったので感謝している」などと、感激の面持ちで喜びを語った。

終了後、岩城氏は生徒たちに、「本当のゴールは、動画の完成ではありません。セルフケアアンバサダーとして、皆さんのすばらしい動画と、プログラムで学んだことを、ぜひ周りの人たちに広げてください」と呼び掛けた。

成女高等学校教員の阪本浩氏は、今回のプログラム参加の経緯について、「中高一貫教育の中でキャリア教育に力を入れており、生徒たちが学びながら社会とつながれるプログラムを探していた。理系・薬剤師志望の生徒もおり、第一三共ヘルスケアさんが提供する“セルフケア”“薬”といったテーマは、女子が受け入れやすいテーマではないかと思った」と話す。他校との共同参加ということで、当初は期待と同時に不安もあったというが、いざプログラムが始まると、個々がリーダーシップを発揮して楽しみながら学びを深める様子が見られたという。
プログラムへの参加を振り返り、生徒たちからは「セルフケアという言葉は何となく知っている程度で、最低限のことしか取り組んでこなかった。今後は、学んだことを生かし、プラスアルファで取り組んでいきたい」「セルフケアについて学ぶ中で、OTC医薬品についても色々調べた、得た知識を友だちや家族などに伝えていきたい」などの感想が語られた。
生徒たちが制作した映像作品は、実際に第一三共ヘルスケアの啓発活動で使用される予定という。
