「令和5年春季全国火災予防運動」が、3月1日から7日まで全国各地で実施されている。それに合わせて、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・東京)が、製品による建物火災の原因トップ3と事故を防ぐためのポイントを公開した。
2017年度から21年度までの5年間にNITEに通知された製品事故情報では、建物火災の件数は計312件。うち死亡事故は74件で、被害者の約7割が70歳以上の高齢者だった。原因のトップ3は全て暖房器具の誤使用や不注意などによる事故で、1位は「可燃物が接触して着火」。ストーブのそばに可燃物を置いてしまったことで、可燃物がストーブの熱源に接触して着火したというケースだ。2位は「灯油が漏れて引火」。給油作業時にカートリッジタンクから漏れた灯油にストーブの火が引火というもの。3位は「ガソリンを誤給油して出火」で、ガソリンと灯油を同じ容器や同じ場所で保管することで起きた事故。特に高齢者が作業する際に多くなっている。
では、そういった事故を防ぐためにはどうすればいいか。NITEは以下の4つのポイントを挙げる。①暖房器具の周りには燃えやすい物を置かない、そばを離れない。②ストーブへの給油時は必ず消火する。灯油が漏れていないことを確認してから本体にセットする。③ガソリンと灯油はそれぞれ専用の容器で別の場所に保管し、高齢者が給油する際は家族がサポートする。④安全機能が充実している製品への買い換えを検討する。
NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「SAFE-Lite」のサービスを行っているので、過去の事例も確認できる。冬から春にかけては空気が乾燥し、風の強い日が多くなるため、火災が発生しやすい。建物火災を発生させないために、日頃から事故を防ぐ行動を習慣づけたい。特に、高齢になるとちょっとしたことで手元が狂ったり、足元がふらついたりしやすくなるので、周囲の配慮も大事だろう。