この映画の特徴は、ビージーズの歴史や分析をとても分かりやすく描いているところだが、その横で、例えば、ビンス・メルーニー(リードギター)、コリン・ピーターセン(ドラム)、ブルース・ウィーバー(キーボード)、プロデューサーのアリフ・マーディンといった“裏方”の証言によって、ボーカルグループとしてではなく、“バンドとしてのビージーズ”が語られる点が興味深かった。
ウィーバーが声を詰まらせながら語る「愛はきらめきの中に」の誕生風景、紆余(うよ)曲折を経た後での「ラン・トゥー・ミー」のライブ映像には、こちらも泣かされた。
こうしたミュージシャンを主役にしたドキュメンタリーや伝記映画の成否は、見ながら、あるいは見た後で、描かれた対象者の曲が聴きたくなるかどうかがポイントだと思うが、その点、この映画はビージーズの曲が聴きたくてたまらなくなるのだから、成功作だといってもいいだろう。
ところで、「メロディ・フェア」など、映画『小さな恋のメロディ』(71)で使われた曲の話題が全く出てこなかった。やはり、あの映画や曲がヒットしたのは日本だけだったのかと、改めて知らされた。
(田中雄二)