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カンバーバッチが異能の天才を演じる『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』 ドウェイン・ジョンソンの活躍に口あんぐりの『ブラックアダム』【映画コラム】

『ブラックアダム』(12月2日公開)

(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

 5千年の眠りから目覚めた破壊神ブラックアダム(ドウェイン・ジョンソン)。彼の強大な力は、息子の命と引き換えに得たものだった。そのことに苦悩と悔恨を抱くブラックアダムは、息子を奪われたことへの復讐(ふくしゅう)のため、その強大な力を使って暴れ回り、破壊の限りを尽くす。

 そんなブラックアダムの前に、彼を人類の脅威とみなしたスーパーヒーローチーム「JSA(ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ)」が立ちはだかるが、圧倒的なパワーを持ち、常識もルールも無視するブラックアダムにはかなわない。そんな中、JSAの前に新たな強敵が現れる。

 JSAのメンバーは魔術師ドクター・フェイト/ケント・ネルソン(ピアース・ブロスナン)、チームリーダーの空の王者ホークマン(オルディス・ホッジ)、嵐を操るサイクロン(クインテッサ・スウィンデル)、巨大化する能力を持つアトム・スマッシャー(ノア・センティネオ)という布陣。

 この映画は、DCユニバースの新章として、ジョンソンがアンチヒーローに扮(ふん)したアクションエンターテインメント。プロデューサーも兼ねた彼が、自身の魅力を最大限に引き出し、見せることに重点を置いた感がある。

 これまでの出演映画でも、筋骨隆々の肉体を駆使したジョンソンのアクションや存在感にはすさまじいものがあったが、ついに超能力まで手にし、空は飛ぶわ、怪光線は出すわと、もはややりたい放題。見ているこちらも口あんぐりで、思わず笑ってしまうほど。

 おまけに、アダムがテレビで『続・夕陽のガンマン』(66)のクリント・イーストウッドを見て、まねをするシーンまであった。

 この映画では、リーアム・ニーソンとのコンビ作で知られるジャウム・コレット・セラ監督が、『ジャングル・クルーズ』(21)に続いてジョンソンとタッグを組んでいる。前半は説明過多でいささかテンポが悪いが、途中から一気に加速するところはさすがだった。

 さて、今後、このブラックアダムはスーパーマンやバットマンとどう絡んでいくのだろう。この映画を見ると、これからのDCは、ブラックアダム=ジョンソンを中心にして展開していくのでは、と思わされた。

 マーベルもDCも既成の曲の使い方がうまいが、今回は、懐かしの「ベイビー・カム・バック」(プレイヤー)と「ペイント・イット・ブラック=黒くぬれ」(ザ・ローリングストーンズ)が印象に残った。

(田中雄二)