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またまた何でもありのマルチバースが展開する『ザ・フラッシュ』/リーアム・ニーソン出演100本記念作『探偵マーロウ』【映画コラム】

『ザ・フラッシュ』(6月16日公開)

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 地上最速のヒーロー、フラッシュことバリー・アレン(エズラ・ミラー)は、そのスピードで時間をも超越し、幼い頃に亡くした母と、妻殺しの罪を着せられた父を救おうと、過去にさかのぼって歴史を改変する。

 そして、別の自分と父母が幸せに暮らす世界にたどり着くが、そこには、スーパーマンやワンダーウーマン(ガル・ガドット)らは存在せず、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ役はマイケル・J・フォックスではなくエリック・ストルツになり、バットマン=ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は全くの別人(マイケル・キートン)になっていた。

 さらに、かつてスーパーマンが倒したはずのゾッド将軍(マイケル・シャノン)が大軍を率いて襲来し、地球植民地化を始めたことから、フラッシュは別人のバットマンやスーパーガール(サッシャ・ガジェ)と共に、世界を元に戻し、人々を救おうとするが…。

 DCコミックスのヒーローが集結した『ジャスティス・リーグ』(17)でスクリーンに初登場したフラッシュを主人公にしたアクションエンターテインメント。監督は『IT イット/“それ”が見えたら、終わり。』(17)のアンディ・ムスキエティ。

 ティム・バートン監督の『バットマン』(89)と『バットマン リターンズ』(92)でバットマンを演じたキートンが約30年ぶりに同役に復帰して出演を果たした。これがこの映画の見どころの一つ。 

 で、またまた何でもありのマルチバースだから、あっと驚くキャラクターや懐かしいキャラクターが多数登場するのだが、DCコミックスというか、DC映画によっぽど精通していないと分からないところもある。

 それにしても、自分の母親を救うためにこれだけの大騒動を起こしてしまうバリー=フラッシュは、ある意味、“自作自演”的なところがあるのだが、そこに切なさやらおかしさを感じさせるところがこの映画の真骨頂。

 日本では、同じくマルチバースが物語の核になるアニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』と同日公開となる。見比べてみるのも一興だ。