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あまりのイメージギャップに度肝を抜かれる『マッド・ハイジ』/ラッセル・クロウのけれん味たっぷりの演技が見どころの『ヴァチカンのエクソシスト』【映画コラム】

『ヴァチカンのエクソシスト』(7月14日公開)

『ヴァチカンのエクソシスト』

 1987年、アモルト神父(ラッセル・クロウ)はローマ教皇(フランコ・ネロ)から、スペインのサン・セバスチャン修道院に住むある一家の、ヘンリーという少年の悪魔払いを依頼される。少年の様子を見て悪魔の仕業だと確信したアモルトは、相棒となった若きトマース神父(ダニエル・ゾバット)と共に本格的な調査を開始する。

やがて彼らは、中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判の記録と、修道院の地下に眠る邪悪な魂の存在を知ることになる。

 カトリック教会の総本山バチカンのローマ教皇に仕えた実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父の回顧録を映画化。クロウがホラー映画に初主演。監督はオーストラリア出身のジュリアス・エイバリー。

 リンダ・ブレアが、悪魔に取りつかれた少女を演じて伝説となった『エクソシスト』(73)から50年。この映画のアモルト神父の現実に即した思考や行動、悪魔つきとされる人の98パーセントは精神疾患によるものというせりふなどに、時代の変化を感じる。

 西洋とは宗教観が違う日本では、クロウのけれん味たっぷりの演技のせいもあって、悪魔払いの様子がコミカルに思えるところがあり、宗教観は除いたところでの娯楽作としても楽しめる。アモルト神父とトマース神父のバディ物としてシリーズ化されるかもしれない。

(田中雄二)