お米が高いですね。わが家は7歳の娘と私なので、家庭の米消費量は低水準で、月10キロはいかないくらい。影響が大きいというほどではないのですが、やはり購入時に、かなり躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。食べ盛りの子がたくさんいらっしゃるご家庭や、飲食店の方は本当に大変だと思います。備蓄米を放出しても、大して効果がないとなると、今後、お米の価格はどうなってしまうのだろうと、食卓を預かる主婦としても「白米好き」としても、気になるニュースの一つです。

日本で米の1人当たりの消費量は1962年をピークに減少傾向にあり、食料自給率を上げるために「お米を食べよう」と習った小学校高学年。その学んだ直後に、修学旅行があり、10歳の私は、箱根に行きました。わが母校では、自分の編んだわらじで「箱根八里」を歩くという、なかなかユニークなアクティビティーがあり、遠足の数カ月前から、藁(わら)を棒で叩(たた)きまくり、柔らかくし、細く裂いた手拭いと共に、「マイわらじ」を編み上げます。当日は、完成したわらじを履き、竹の皮に包んだおむすびを腰に風呂敷で巻き付け、水の入った竹筒を首から下げ、大して舗装されていない山道を歩きます。昔の方たちの気持ちを体験する、というのがテーマであったと思われるのですが、ぬかるんだ道で湿ってくるわらじが気持ち悪く、苦行という言葉が道中ずっと頭にありました。ただそんな中で、食べたおむすびのおいしかったことと言ったらありませんでした。今でも忘れられない食事です。
あれから早三十数年、気付けば私は、完全にコメ派。もちろんパンも麺も好きなのですが、炊きたてのご飯は、何よりのご馳走(ちそう)です。なので、献立の決め方も「ご飯と合うか」という点がかなり重視されています。予防医学で栄養の勉強をして、改めていかに魚が優秀かということを知り、週の半分は魚をメインにすることを心がけているのですが、それにもお米はマストアイテムとなります。願わくば、従来の価格に戻ってくれと思いつつ、当面は、全体でみて、食費をコントロールしていくということになるのでしょうか。と書いていたら、今、とても炊きたてご飯が食べたい気分です!
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 18からの転載】
平井理央(ひらい・りお)/ 1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。