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山本耕史、人生を変えたのは結婚と子ども「あのまま変わらないでいたら、死んでいたんじゃないかなと思います」【インタビュー】

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 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の三浦義村、NHKドラマ10「大奥」の右衛門佐など、数々のドラマや映画で活躍し、現在はミュージカル「太平洋序曲」にも出演中の山本耕史。公開中の映画『長ぐつをはいたネコと9つの命』では、主人公・プスの声を担当している。本作は、人気シリーズ『シュレック』に登場した伝説のネコ、プスを描いたドリームワークスの最新作。山本に本作の魅力やプスの魅力、さらには人生を変えた出来事について聞いた。

山本耕史(ヘアメーク:西岡和彦(PARADISO)/スタイリスト:笠井時夢)(C)エンタメOVO

-最初に本作の台本を読んだときの印象は?

 とにかく、僕が演じるプスの登場しているシーンが多かったので、驚きました。主役といえど、これほど出ている主役って意外といないんですよ(笑)。なので、これは大変だなというのが正直な感想です。ただ、ストーリーはとても面白かったですし、素直に感動しました。ワクワク、ハラハラするし、勇気ももらえる。これはきっとプスがネコという設定だからこそ素直に見ることができるんだと思います。実写だったら、素直に見られないと思う。なので、僕の声がじゃまにならないようにということを意識して演じました。

-山本さんが感じた本作の魅力は?

 劇中には、これまでの8つの命のプスが登場するシーンがあります。そこでのプスは、すごくだらしなかったり、傲慢(ごうまん)だったり、ずる賢かったり、人間の駄目な部分を見せています。そのほかにも酔っ払いプスや歌うプス、マッチョなプスなど、いろいろな設定のプスが出てくるのですが、唯一出てこないのは弱さや優しさを持ったプスです。この物語では、虚勢を張っていたプスが、優しさや本当の強さを手に入れることができるのかという、プスの生きざまが描かれています。冒険だけでなく、彼の成長も丁寧に描いているのが魅力だと思います。

-プスに共感できるところはありましたか。

 共感できると思いながら演じていたわけではないですが、改めて考えてみると、自分も同じような体験をしてきているなとは思います。プスは物語の前半では、虚勢を張って生きていますが、僕自身も仕事をしていく上で、強くいなくてはいけないとか、負けを認めたら駄目だと思う瞬間が、今でもあります。そういうところは共通していますね。

 ただ、彼の意志の強さは僕にはないかな。プスは最後には、自分に課していたことを捨てる決意をしますが、それはすごく勇気がいることです。僕は毎日、筋トレをしているので、「毎日続けるなんて意志が強い」と言われることもありますが、実はそれは意志が弱いから休めないだけ。本当に意志が強い人は「今日は休もう」と思って休めるんです。僕は「やらなくちゃ」と思って毎日やってしまうんです(笑)。

-劇中には、プスの歌唱シーンもありますが、歌唱シーンのアフレコはどうでしたか。

 今回は歌も難しかったです。プスというキャラクターで歌わなければならないので、自分として歌うのとは全く違います。ディレクションの方が、細かくこうした方がいいと伝えてくださったので、それを意識しながら丁寧に歌っています。

-本作は、プスが望みをかなえる「願い星」を手に入れるために冒険をするというストーリーですが、山本さんは願いごとをすることはありますか。

 全くしないというわけではないですが、願いごとをする暇があるなら、願いが実るように自分で行動するタイプです。何もしないで願いごとだけするということはしないかな。例えば、香取慎吾くんの電話番号を聞きたいと願っても誰も教えてくれないでしょう(笑)。もちろん、神社にお参りに行ったら、手は合わせますよ。ですが、昔、父親から「ここまでこられたことを感謝するために手を合わせるんだ」と教わってからは、願いごとをするというよりは「家族みんな、健康に過ごすことができました。ありがとうございます」と感謝を伝えています。「できればこの先も健康でいられたらいいな」というぐらいは願いますが。

-劇中では、9つのうち8つの命を使い終わっていて、1つしか残っていないことを知ったプスが、冒険をしながら変わっていく姿を描いていますが、山本さんの中で人生を変えた出来事は?

 やはり、結婚と子どもが生まれたことです。結婚前は、自分でも意識しないうちに虚勢を張っていたんだと思います。それが楽しかったし、自分らしさだと思っていましたが、結婚して1人じゃなくなったら、「これ、要らないかも」と思うものがいっぱいあった。本当に命が救われるぐらい変わりました。