高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生・城戸卓也(楢原嵩琉)とともに『神の筆』の秘密に迫るが…。
7月26日から公開となる『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』は、『ゴジラ』や『ガメラ』シリーズに参加してきた“怪獣造形界のレジェンド”村瀬継蔵が、88歳で初の総監督を務めたファンタジーだ。
主人公・時宮朱莉を演じるのは、子役時代からNHKの大河ドラマ「八重の桜」(13)や連続テレビ小説「あさが来た」(15)で主人公の幼少期を演じて注目を集めてきた鈴木梨央。公開を前に、伝統的なアナログ特撮を駆使した撮影の舞台裏や俳優としての思いを聞いた。
-アナログ特撮を駆使した本作に主演というお話を聞いたときのお気持ちは?
子どもの頃、特撮映画好きな友だちと一緒に、「怖い、怖い」と言いながら、私も『進撃の巨人』(15/実写映画版)やゴジラ映画を見ていました。だから、初めて特撮映画に参加させていただけると分かったときは、うれしかったです。
-鈴木さんは子役時代から10年以上のキャリアをお持ちですが、今まで特撮の経験は?
グリーンバックの撮影は経験ありますが、実在しないものを目の前にいるかのように想像しながらお芝居するのは初めてでした。そのため、現場で絵コンテ(映画の設計図のようなもの)と照らし合わせながら、ワンカットずつ丁寧に撮っていきました。難しい部分もありましたが、楽しみながら撮影できました。
-原作・総監督を務めた村瀬継蔵さんの本作に懸ける思いを、どんなふうに受け止めましたか。
村瀬監督が何年も前から企画を進め、ムグムグルス(朱莉に協力する小型の怪獣)などのキャラクターを作り上げ、ようやく撮影にたどり着いたと伺い、皆さんの思いが詰まった作品であることを改めて実感しました。朱莉を演じる自分の責任も感じていましたが、撮影の時は目線や動作について丁寧にディレクションしていただいたおかげで、一つずつ理解しながら撮影を進めることができました。
-アナログ特撮の魅力を、どんなところに感じましたか。
最も印象的だったのは、街を破壊する巨大なヤマタノオロチから逃げ出す場面です。完成した作品を見たらヤマタノオロチが私の目の前にいてとても迫力がありました。CGとはまた違う温かみのような、懐かしいような映像になっていると思いました。朱莉を演じる自分の気持ちや特撮の現場の熱意など、この映画に関わる皆さんの心が一つになったことが感じられ、特撮映画の魅力を実感しました。
-朱莉の母・時宮優子役の釈由美子さんは『ゴジラ×メカゴジラ』(02)に主演した経験があり、ご本人も特撮愛の強い方ですが、共演した感想は?
待ち時間にお話をさせていただきましたが、釈さんはとても優しい方でした。息子さんもこの映画を楽しみにしているらしく、一緒にいらっしゃって、楽しそうに現場を見学されていたのも印象的で。釈さんご自身も、特撮の現場見学を熱望されていて、私も影響を受けそうなくらい、特撮愛がすごかったです。
-完成した映画をご覧になった感想は?
本当に感動しました。いろんな魅力が詰まっているので、気付いたら作品に入り込んでしまっていて。エンドロールに流れるDREAMS COME TRUEさんの主題歌『Kaiju』も、映画にぴったりのすてきな曲でしたし。両親に特撮映画を見せてもらった自分の子どもの頃の記憶がよみがえってくるなど、どこか懐かしさを感じる部分もあり、特撮映画好きな方も、あまりご覧になったことのない方も、楽しめる作品になったと思います。