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「光る君へ」でも注目の瀧内公美、舞台は「毎日違うというところが面白い」 「夫婦パラダイス」で尾上松也とカップルに【インタビュー】

-ところで、瀧内さんは映像作品でもご活躍されていますが、映像、舞台それぞれのお芝居の面白さはどんなところにあると思いますか。

 やっぱり(舞台は)生ものなので、毎日違うというところが面白いです。お客さまも毎日違うので、その日によって反応も違いますし、反応していただけることで私たちの気付きにもなります。毎日、お勉強をしている気持ちです。そして、映像では、普通に会話している声でも伝わりますが、舞台ではこの大きさの声では絶対に伝わらないです。なので、声や体の使い方も変わります。そういう意味でも、全身を見られているという意識を持って演じなければいけないと思います。

 映像は、私たちのお芝居に監督の視点が入って、どこを見せていくのかを編集作業で決めていきます。一方で、舞台ではどこを見るのか、どこにフォーカスを当てるのかはお客さまの自由。それもまた違いだと感じています。

-本番前のルーティンなど、舞台に出演されるときに意識していることはありますか。

 劇場に入る前には必ず、運動をしています。劇場でも声を出したり、瞑想(めいそう)のようなことをしていますね。そうすることで集中できますし、役や世界に入っていくことができるんです。それから、あとは好きなものを好きなだけ食べる。体はなるべく冷やさないですかね。

-それは舞台のときだけで、映像の撮影ではやらないんですか。

 映像のときはやらないです。映像の撮影現場には、私はあまりカチカチに決めないでいくようにしています。フワッと入っていくというイメージです。現場によってスタッフさんも変わっていくので、まずは、その現場の空気感に体をなじませるというのが、私のやり方です。撮影1日目は、ただ歩くだけというような、軽いシーンを撮ることが多いんですよ。なので、そこからだんだんと作り上げていって、最終的には無理なくそこにいられる状態にします。舞台は、本番までに作り上げたものがありますし、最初から最後まで必ず毎日演じなければいけないので、体は作っておくためにもルーティンが必要です。

-役作りという意味でも変わりますか。例えば、映像の方がより空気感を大事にされるとか?

 空気感はすごく大事にしますね、映像のときは。それから、どれだけ一人で準備する時間が持てるかどうかが、私にはすごく大事になります。舞台では、みんなで作っていけますし、みんなの意見を伺える時間がありますので、そこは違いますね。

-では、瀧内さんにとっての理想の俳優像とは?

 私たちの仕事は、基本的にオファーをいただいてお仕事ができるものなので、いただいたお仕事を一生懸命にやることだと思います。一生懸命にやるというのは当たり前のことではありますが、とにかく一生懸命にやることで、また次の作品につながっていくのだと思います。人との出会いを大切にして、遅刻はしない(笑)。「時は金なり」ですので。

-大河ドラマ「光る君へ」では、源明子を演じ、大きな反響を呼びました。そうした反響を受けて変化はありましたか。

 多くの方に見ていただいたことを実感しました。私は、単館系の映画からキャリアがスタートしているので、東京などの都市部でのみ上映される作品に参加することが多かったのですが、大河ドラマは全国の皆さまに見ていただくことができる。ですので、地元に帰ったときに、お世話になったおじいちゃんやおばあちゃん、両親のご友人などにも声をかけていただいて、とてもうれしかったです。母からも「本当にうれしかった」と言ってもらえたので、少しは親孝行できたのかなと思います。

-そうしたドラマで瀧内さんの演技を知った方が舞台に足を運んで、新たな瀧内さんの一面が知られたらいいですよね。

 呪詛はしないので、ぜひ安心して見に来ていただきたいです(笑)。(「光る君へ」に藤原兼家役で出演した)段田(安則)さんも本作に出演されるので大河ドラマをきっかけに劇場に足を運んでくださるお客さまがいらしたら、「またあの人、殺しちゃうのかな」とイメージしてしまうかもしれませんが(笑)、今回は笑って楽しんでいただける、心温まる不思議なお話です!

-どんなところに注目して見てもらいたいですか。

 今回は、大阪を舞台にしているので、関西弁に挑戦させていただきます。とってもこわいですね(笑)。不安もありますが、芸達者な方が集まっていますので、ものすごく面白い舞台が作れるのではないかと思います。私はついていくのに必死になりそうですが(笑)皆さん、余裕がある方ばかりで、どんなアドリブが飛んでくるのか。おとなの御伽噺、お楽しみいただければと思います。

 (取材・文・写真/嶋田真己)

 シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.7「夫婦パラダイス~街の灯はそこに~」は、9月6日~19日に都内・紀伊國屋ホールほか、愛知、大阪で上演。

 

シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.7「夫婦パラダイス~街の灯はそこに~」