
-ここまで演じてきた中での印象を。
日本の教育界に切り込みを入れていくという本当に難しい題材で、演じていても毎回毎回考えさせられています。毎シーン練りに練ったお芝居でみんなで挑んでいるので、チームとしての結束力が生まれています。是枝は、御上先生が、生徒を成長させていく様子をそばで見つめている役なので、1話の初めての教室のシーンから、最終話の最後の教室のシーンまでの変化の大きさと言いますか、撮影しているこの4カ月の間で、みんながすごく主体性を持って仕事に挑んでいる姿と、作品の中の生徒たちの成長がリンクしていると思いました。作り物ではない生の感覚や、自分のこととして社会の問題に取り組んでいく姿勢が、撮影中に育まれていったことを感じます。
-生徒役の人たちから刺激を受けることもありますか。
たくさんあります。生徒たちのお芝居を間近で見ていて、何てみずみずしいんだろうと思いますし、皆さんが今の年齢にしかできないお芝居を日々されているので、そういう特別な瞬間に立ち会っているという気持ちになります。皆さんがこれから大人になっていった時に、あの時間がすごく貴重だったと感じるのだろうなと思います。ただ時々、悩みごとの相談をしてくれたり、こういう時はどうしたらいいと思いますかと聞いてくれるので、役の上での生徒と先生とはいえうれしいですし、かわいいなって思います。
-教師役として心掛けていることはありますか。
御上先生の横にいる副担任としての是枝を演じているので、ただ後ろに付いているのではなく、ちゃんとアシストできる関係性になること。小さなことからサポートしたり、寄り添っていることがとても重要だと思っているので、御上先生とは違う側面から生徒を思いやることに気を付けてます。
-第7話の台本を読んだ感想を。
このドラマは、全話を通して、生徒たちが抱える問題が社会的な問題と通じているという“パーソナル・イズ・ポリティカル”を、まさに生徒たちが体現していくんですけど、その中でも7話に出てくる椎葉さんは、社会問題を凝縮したようなキャラクターなんです。生理の話、格差の話、貧困の話など山積みで、それを小さな体で1人で抱えている。1人で背負うにはあまりにも大きな問題ですよね。彼女が1人ぼっちにならないような希望を見いだせるようになればいいなと。戦っている人もきっとこのドラマをたくさん見てくださっていると思うので、少しでも救いになるような回にしなければと思いました。
-第7話の放送を前に、視聴者の皆さんにメッセージを。
教室全体も1話の時からみるとみんながすごく成長していて、人の気持ちを考えたり、考えていることをみんなの前で発言する力や、主体性が育まれている様子を見ることができます。御上先生によって成長してきたみんなが、大きな社会問題が山積みになった椎葉さんが抱える問題とどう対峙(たいじ)していくのかという、そのさまが本当に素晴らしいです。椎葉さんを演じた吉柳咲良さんが、本当に心の奥に刺さるような素晴らしいお芝居をされてるので、注目していただきたいです。それで是枝はまたヘマをします。もう本当に成長が一番遅いんじゃないかと思っているんですけど、凝り固まった大人の役なので成長が遅いんです。是枝が椎葉さんのことを心配するあまり、考えさせられるシーンが出てくるので、皆さんも一緒に考えていただけたらうれしいです。
(取材・文/田中雄二)
