3月3日は桃の節句「ひなまつり」。広辞苑によると、「3月3日の上巳(じょうし)の節句に、女児のいる家で幸福・成長を祈ってひな壇を設けてひな人形を飾り、調度品を具え、ひし餅・白酒・桃の花などを供える行事」とある。
鎌倉国宝館(鶴岡八幡宮境内)では、毎年桃の節句に合わせて、ひな人形を一堂に公開しているが、今年も3月12日(日)まで開催中だ。
うららかな春の訪れを告げるにふさわしい「ひなまつり」という行事は、平安時代にまでさかのぼることができるといわれている。その後、江戸時代に入ってからは年中行事として定着し、さまざまな人形や調度品が作られるようになったという。
鎌倉国宝館のひな人形コレクションは、大部分が江戸時代の作品であることが特徴。享保年間より大流行した能面のような顔立ちの享保雛(きょうほうびな)や、箱書に年季の入った資料的価値が高い内裏雛(だいりびな)、ひな人形の古形とされる立ち雛(たちびな)など、多様な形式のひな人形を見ることができる。
ほかにも、御殿飾りやひな段飾り、御所人形など、ひなの宴を彩る人形たちが鎌倉国宝館を彩っている。種類豊富なひな道具も見どころのひとつ。とくに蒔絵(まきえ)やガラス、陶器などで精巧に細工されたミニチュアの調度品類は、当時の工芸の粋を凝らした見事な出来栄えだ。
開催時間は午前9時から午後4時半まで(入場は午後4時まで)。休館日は月曜日。観覧料は、一般500円、小中学生250円。鎌倉国宝館の住所は〒248-0005 鎌倉市雪ノ下2-1-1で、鶴岡八幡宮境内にある。電話は0467-22-0753。観覧料を払った人であれば、学芸員による無料の列品解説(申し込み不要)が毎週水曜日午前10時半から受けられる。