妄想、と一口にいってもその形はさまざまだ。当事者以外には奇妙でおかしなものだと思われがちだが、過去の記録に注意深く目を凝らすと、驚くほど日常的で役立つことが分かるのだそうだ。妄想はどこから生まれ、何を意味しているのかを読み解く『妄想の世界史 10の奇想天外な話』(ビクトリア・シェパード著、日経ナショナル ジオグラフィック・東京)が、2月20日に発売される。
「私の身体はガラスでできている」「私の上にのっているのは別人の顔」「我こそ真のナポレオン」「私はもう死んでいる」「誰かが夫になりすましている」「国王に愛されている」など、史実に見る10の奇妙なケースを紹介。巧妙かつ切実な、生き延びるための心理的作用が働くその妄想の背景を説明する。個人が現実世界と関わっていくための、必死の「戦略」としての妄想。百花繚乱(りょうらん)の妄想に満ちた人間の歴史を、壮大なスケールで描く歴史読みものになっている。税込み2530円。