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ビジネスのアイデア実現を支援するオンラインサービス 矢野経済研究所が「AIDEL」(試行版)の提供開始

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 マーケティング調査の矢野経済研究所(東京都中野区)は、金融情報サービスなどを手がけるクォンツ・リサーチ(東京都港区)と共同で、企業のビジネスアイデア発想業務を支援するオンラインサービス「AIDEL」(あいでる)を開発、6月15日から試行版サービスの無償提供を始めた。半年程度の試行版での実証を経た後、機能やサービスなどを拡張し、本格サービスを提供(有償)する計画だとしている。

 「AIDEL」は、企業が新規事業を立ち上げる際に、考えるべき具体的検討項目やプロセスをアドバイスし、ビジネスアイデアとして完成させるまでを支援するシステム。

 矢野経済研究所によると、ビジネスに向けたアイデアは複数の人間が集まってブレインストーミング(ブレスト)しながら練り上げていくのが一般的だが、「論点が絞られている場合は比較的うまく機能するが、新しいアイデアをゼロベースで検討する場合などには、うまくいかないこともしばしばある」と説明する。

 同社はこれまでの企業への支援などを通じて得た経験やノウハウを基に、新規事業のビジネスアイデア発想へ向けたプロセスを可視化。クォンツ・リサーチとオンラインサービスとして開発した。

 「AIDEL」の特徴は、主にウェブ上でオープンとなっている情報の中から、アイデア発想業務に関する情報について、独自開発の人工知能(AI)により矢野経済研究所が持つ市場区分と結びつけて提供。これによって「煩雑な事前業務の時間をカットでき、有用な情報のチェックからスタートすることができる」としている。

 また、アイデアの発想から実現までのプロセスを可視化し、「誰のための事業か」「会社のどんな資源を活用するのか」といった検討する項目を具体的に導いてくれるため、専門家のアドバイスに頼らず、アイデアの完成まで進めることができるという。チーム機能も搭載したことで、複数メンバーで共有しながら議論を進めることも可能だといい「ブレストより効果的にビジネスのアイデアを検討することが可能になる」と説明している。

 試行版は法人・団体を対象に今年秋ごろまで提供(上限20社・団体)。その後、スマートフォン対応などの機能を追加するほか、対話機能を持つ生成AIの活用も検討している。

 矢野経済研究所とクォンツ・リサーチは、ともに共同通信グループ。同研究所は1958年に設立、全産業分野を対象に年間250テーマ以上のマーケット・レポートを発刊。2000年設立のクォンツは、金融工学とITを融合させたサービスを提供している。