囲碁の女流本因坊4連覇を果たした藤沢里菜女流本因坊(25)の第42期女流本因坊就位式が1月19日、東京都内のホテルで開かれた。4連覇を祝福された藤沢女流本因坊は「防衛を続けられるようにこれからも精進したい」と謝辞を述べ、5連覇への意欲を示した。
藤沢女流本因坊が4連覇を決めた第42期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負(共同通信社・日本棋院主催、JA共済連・共栄火災協賛)は2023年10月12日、岩手県花巻市の温泉旅館「佳松園」で第1局が始まり、藤沢女流本因坊が挑戦者の上野梨紗二段(17)に敗れる波乱の幕開け。第3局を終えて1勝2敗と追い詰められる展開となったが、藤沢女流本因坊は本来の力を取り戻して第4、5局を制し、伸び盛りの若い上野二段を3勝2敗で退けた。
接戦を振り返った藤沢女流本因坊は「1局目から負けてまずいと思った。2局目は勝ったが3局目は完敗。心あらためて4、5局に臨み、苦しい場面もあったが何とか5局で勝ち、防衛できた。大変な相手だった」と成長する上野二段の強さを認めた。
就位式には女流本因坊戦の主催者ら関係者約70人が参加。主催者として賞杯と賞金を贈った株式会社共同通信社の三土正司社長は、藤沢女流本因坊のさらなる連覇に期待するとともに「第一人者の藤沢さんに追いつく若手棋士の台頭も願っている」と囲碁界を面白くする若手の成長も望んだ。
岩手県花巻市での第1局を主催した岩手日報社の川村公司社長は「(第1局前日の)前夜祭でご一緒した藤沢さん、上野さんの2人は和気あいあいと会話していたが、翌朝(の対局)になると一転、ぴりっとした空気に包まれた。新進気鋭の上野さんが(第1局を制して)先制点を奪うと、大盤解説会の会場にどよめきが起こった」と地元囲碁ファンを大いに楽しませた第1局の盛り上がりを紹介した。
藤沢女流本因坊に允許状を手渡した日本棋院の小林覚理事長は「すごく苦しんだが、力を出し尽くした防衛戦だった」と4連覇をたたえた上で「(男性棋士と戦うトーナメントでの)優勝も決して夢ではない実力はついた」と今後のさらなる活躍に期待した。
藤沢女流本因坊の小学生時代を知る来賓の光永淳造六段(49)は「プロになるのは間違いなかった。小さいころから“才能の塊”という言葉がぴったりの子で、努力も惜しまなかった」と当時の思い出を語り、囲碁界を引っ張る現在の活躍も「予想以上ではなく、予想通り」と指摘。努力を重ねてきた藤沢女流本因坊の才能の開花を祝福した。
藤沢女流本因坊を「憧れの棋士」として慕う徐文燕二段(19)もお祝いに駆け付け、「里菜先生は強くてすてきな棋士。私の目標」と述べ、藤沢女流本因坊に花束を手渡した。