まめ学

「輪島塗」のDNAを残したい  中屋万年筆が「輪島塗」職人に東京の作業場を提供

 元旦の能登半島地震で、石川県の伝統産業「輪島塗」もまた、大きな被害を受けた。震災前から職人の育成、漆・金紛等の材料・筆などの道具の維持に努めてきたが、現在、製作再開のめどが立っていないという。そのような中、オーダーメイド万年筆を手掛ける中屋万年筆(東京)は2月から、万年筆に施す漆塗り工程について、輪島から輪島塗職人を東京に招き、作業場を提供する。中屋万年筆の長年のパートナー会社から、「輪島塗」のDNAを残すべく申し入れがあり、万年筆に施す漆塗り工程を輪島から東京に移転して継続していくことになった。

中屋万年筆リリースTOPイメージ

 輪島は日本の漆芸で職人の数も最大の産地。中屋万年筆の万年筆の中でも、輪島の漆芸・蒔絵(まきえ)職人による出来栄えは世界からの評価も高く、柄やモチーフが軸に巻き付くデザインは特に海外での人気が高いという。一方、万年筆軸などの曲面に描く技術の難易度は高く、職人の育成には10年を要し、職人の高齢化も進んでいる現状がある。

 また、蒔絵に多く用いる金の高騰に加え、材料である漆も日本産は岩手県二戸市が支えており、中屋万年筆では、成木まで15年を要する二戸市の漆の木の植林にも協賛している。中屋万年筆では、「漆は海外で『JAPAN』 といわれています。場所に限定せず、日本各地の漆芸についてAll Japanでこれからも世界の方々のご期待に応えるべく頑張ってまいります」としている。