カルチャー

貧乏青年から“世界のムナカタ”へ  原田マハ新作『板上に咲く』

 印象派の絵画や画商たち、そして当時の日本をとりまくもろもろを物語として楽しめる原田マハ作品のファンは多い。3年ぶりの長編アート小説、『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』(幻冬舎、税込み1870円)が発売された。日本の、世界のアート界を劇的に変えた「世界のムナカタ」の物語だ。

 1924年、画家への憧れを胸に青森から上京した棟方志功だが、絵を教えてくれる師もおらず、材料を買うお金もなく、弱視のせいでモデルの体の線を捉えることが難しい棟方は、帝展に出品するも落選続きの日々を送っていた。やがて、木版画こそが自分にとっての革命の引き金になると信じ、油絵をやめ版画に注力することになる。

 ゴッホに憧れた青年がいかにして世界のムナカタになったのかが、妻チヤの目線で語られる。国境、時代、人種を超えて愛される棟方志功に迫るアート小説だ。

 4月6日には、著者と棟方志功研究家・石井頼子氏のスペシャルトークイベントも開催される。参加申し込みは幻冬舎の原田マハさんアート小説『板上に咲く』刊行記念イベントページから。

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