日本は昔から山岳信仰があり、登山が趣味ではなくても山に登る人が少なくない。標高が高い、有名である──そうした山でなくても、登る目的があれば楽しいもの。スマートフォンのGPSで現在地と登山ルートがわかるアプリ「YAMAP」を運営するヤマップ(福岡市)はこのほど、YAMAPで登頂数(活動日記数)が多かった山をエリア別に集計。「2024年に『登られた山』ランキング」として公開した。このランキングは、期間中の登頂数をエリア別に集計し人気指数としてスコア化。2021年から毎年公開しており、今回で4回目となる。 調査期間は今年1月1日〜11月30日 。
人気があった山は、日本一の富士山のほかでは、本格的な登山客が訪れそうな3000m級の立山、乗鞍岳などがランクイン。また、高尾山や六甲山など大都会から気軽に行ける行楽地や、大都会を一望できる山などが人気を集めている。「YAMAP」の活動日記から引用した説明で、各エリアのトップ5をご紹介しよう。
北海道エリアでは、札幌市の「藻岩山(もいわやま)」が4年連続の1位に。高山植物や雄大な景色が魅力の道内最高峰「旭岳(あさひだけ)」が約2割増の2位となった一方で、ヒグマの目撃による登山道閉鎖等の影響を受けた「三角山(さんかくやま)」は3位だった。以下、「十勝岳」「雌阿寒岳(めあかんだけ)」と続いている。
東北エリアでは、四季折々の美しい風景と沼ノ平が有名な「安達太良山(あだたらやま)」が4年連続の1位。2位以下も、朝日連峰・蔵王など抜群の眺望を楽しめる「月山(がっさん)」、五色沼で知られる「一切経山(いっさいきょうざん)」、猪苗代湖を望む「磐梯山(ばんだいさん)」、全山紅葉の「栗駒山(くりこまやま)」が選ばれている。 登山者数の多い関東エリアは、1位の「高尾山」以下、「塔ノ岳(とうのだけ)」「筑波山(つくばさん)」「大山(おおやま)」「御岳山(みたけさん)」 と続き、4年連続で同一の結果に。いずれも都市近郊にありながら四季折々の美しい自然と多様な山歩きを楽しむことができる山々。
北陸エリアで4年連続で1位となったのは、浄土山、雄山、別山の立山三山で知られ、四季折々の美しい景観が楽しめる「立山」。以下、花の名山「白山(はくさん)」、福井の里山「文殊山(もんじゅさん)」、福井の百名山「荒島岳(あらしまだけ)」、柏原新道から鹿島槍ヶ岳への稜線歩きも人気の「爺ヶ岳(じいがたけ)」が続いた。
甲信越エリアは、北アルプス入門の山としても知られる「燕岳(つばくろだけ)」をはじめ、開放的な稜線歩きを楽しめる「大菩薩嶺(だいぼさつれい)」、リフレクションが美しい八方池で知られる「八方山(はっぽうやま)」、中央アルプスの最高峰「木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)」、岩肌が赤く染まる「赤岳(あかだけ)」がランクインした。
東海エリアの1位は岐阜市にほど近く美しい夜景も望める「金華山(きんかざん)」。名古屋近郊の霊山として名高い「猿投山(さなげやま)」を初めて僅差で上回る結果に。また、3位「富士山」は登山規制の導入による減少が見られた一方、乗鞍スカイラインが開通した「乗鞍岳」は4位に。「弥勒山(みろくやま)」は昨年に続き5位となった。
関西エリアでは、山頂にある時計台とライブカメラがユニークな「金剛山」が4年連続の1位に。2位以下も例年と同様、近代登山発祥の地「六甲山」をはじめ「摩耶山(まやさん)」「御在所岳(ございしょだけ)」など、近畿で人気の山々が続いた。京都五山送り火の舞台として知られる「大文字山」は初のランクイン。
中国エリアは、伯耆大山(ほうきだいせん)とも呼ばれる最高峰「大山」が4年連続の1位。また、1234段の階段でも知られる「福山」が、花こう岩の岩峰「右田ヶ岳(みぎたがだけ)」を上回り2位に。以下、厳島神社と一緒に訪れる「弥山(みせん)」、山麓でスノーシューを楽しめる「三瓶山(さんべさん)」が続いた。
四国エリアは、徳島県の最高峰「剣山(つるぎさん)」が、西日本最高峰「石鎚山(いしづちさん)」を初めて僅差で上回る結果に。以下、稜線上に爽快な笹原が広がる「三嶺(みうね)」、讃岐富士として知られる「飯野山(いいのやま)」、絶景のドライブコース「UFOライン」で知られる「瓶ヶ森(かめがもり)」と、人気の山々がランクインした。
九州を代表する名峰を擁する「くじゅう連山」、福岡県内で最も登山者が多いとされる「宝満山(ほうまんざん)」が4年連続の1〜2位に。3位以下も例年と同様、南九州の名峰「韓国岳(からくにだけ)」、福岡の市街地を一望できる「立花山(たちばなやま)」、ダイナミックな大自然を楽しめる阿蘇「中岳」が続いている。