将来のエネルギーの在り方を考える「未来を拓く! 次世代エネルギーシンポジウム」(主催・薩摩川内市、南日本新聞社)が2017年11月26日、鹿児島市民文化ホールで開かれた。エネルギー事情に詳しい専門家の講演やパネルディスカッションのほか、エネルギーを楽しく学ぶクイズなどを通じて、参加者はエネルギー問題について理解を深めた。
主催者あいさつで薩摩川内市の岩切秀雄市長は「人とエネルギーの関係はたくさんの人の選択の積み重ねだ。よりよい未来をつくるためにはよりよい選択が必要。そのためにはエネルギーのことをよく知り、よく考えることが大切」とエネルギーの在り方を検討する重要性を訴えた。
基調講演を行った東京大学教養学部客員准教授の松本真由美さんは、世界や日本のエネルギー事情を解説。日本のエネルギー自給率の低さを挙げた上で「(自給率が低いため)海外から天然ガスや原油などを輸入している。2016年度は金額にして21兆円。日本の輸入額全体の3分の1を占める」と指摘し、再生可能エネルギーの普及拡大や安全対策を徹底した上での原子力発電の利用は、エネルギー自給率の向上にもつながると説明。さまざまなエネルギーを組み合わせていくことの重要性を訴えた。
エネルギー問題を◯×で答えるクイズコーナーには、軽妙なやり取りで人気のお笑いコンビ、パックンマックンの2人が登場。松本さんが出題するクイズに対して会場の参加者と一緒に答えを考え、奇抜な回答理由で会場をわかせた。
パネルディスカッションは、南日本新聞社の國弘崇報道部長を司会に、松本さんやパックンマックンのほか、11月3日に薩摩川内市で行われた「次世代エネルギー見学・体験ツアー」に参加した3組の親子や南国殖産(鹿児島市)環境エネルギー事業部の鮫島奈緒子さん、薩摩川内市次世代エネルギー対策監の久保信治さんの計11人が登壇した。
松本さんは、薩摩川内市でも構想として掲げる竹を使ったバイオマス発電を取り上げ「竹はカリウムや塩素が多くて燃料に向かないと言われているが、最近の技術開発で問題が解決されつつある」と竹とエネルギーに関する事例を紹介した。
パックンは「(エネルギークイズで取り上げられた)日本の石油消費量が世界4位というのはショック。でも技術革新によって竹や下水汚泥を使ったバイオマス発電などの取り組みが進められていることは希望」と話した。
「次世代エネルギー見学・体験ツアー」に参加した小学5年生の家村早紀さんは「(電気を意識せずに)普通にお風呂に入ったり、テレビを観たりしているが、これからは節約したい」とツアーを通して知った電気の大切さを語った。
太陽光発電事業などを手がける南国殖産の鮫島さんは「地球に優しいクリーンなエネルギーということで、再生可能エネルギーの普及に力を入れていきたい」と今後の事業展開を説明した。
久保さんは「地熱発電施設以外の主な発電施設はすべてコンパクトに市内にそろっている。“エネルギーのパビリオン(展示館)”と勝手に名乗っている」と市の特徴を紹介。次世代エネルギーの普及促進だけでなく、次世代エネルギーを活用した課題解決や未来につながるまちづくりを掲げる同市の想いを語った。