■冒険心をくすぐる「龍河洞」
続いて足を運んだのは高知県東部の三宝山(香美市)の中腹にある龍河洞。日本三大鍾乳洞の一つで、国指定史跡・天然記念物だ。総延長は4キロほどあり、そのうち1キロが観光コースとして整備されている。
地元の龍河洞商店街を抜けて鳥居をくぐると、急な石段が待っている。石段を登り切ると、山腹にある洞窟が口を開けていた。夕刻とあって、外気温は10度以下となり冷えていたが、洞窟内は年間を通して12度~15度程度。歩いているうちに、じわりと汗も出てくるくらいだ。出口まで30分あまり歩く観光コースは、足元が整備され、ライトも灯っており、危険はない。ただ、道中には、かがんだり腰をくねらせたりしないと通れない箇所も多い。
1センチ育つのに100年かかるといわれる鍾乳石。この規模の鍾乳洞が出来上がるのには、1億7000万年以上はかかるという。洞窟を愛する地元の有志も管理に携わっている。商店街でペット用の鶏を育てている中村大輔さんもその一人。「仕事で2日に1回は入るのですが、鍾乳洞の中にいると、悠久の時とか宇宙とかいった、大きなものと対峙する自分を感じられるんです。龍河洞から見たら、僕なんてちっぽけだなと」と洞窟の魅力を語る。
冒険感を高めたい人のためには、冒険コースも用意されている。観光コースと違って洞内に明かりはなく、漆黒の闇の中をヘルメットにつけたヘッドライトを頼りに、200メートルを90分かけて進む。狭いところを這い、木のはしごを上り…。洞窟探検隊さながらの気分を味わえそうだ。
龍河洞の鍾乳石は、いまだ成長を続けている。忘れがちだが、鍾乳洞は生きているのだ。「おすすめの季節は夏。水量が増えてみずみずしくなり、より生きてる感じがするんです。中は天然のクーラーのように、とても涼しくて気持ちがいい」と教えてくれた。今後、夏に水をたたえる西本洞にも、新たなコースを整備予定だという。防水装備で入洞するこちらは、さらに冒険度が高そうだ。
公益財団法人龍河洞保存会
0887-53-2144
香美市土佐山田町逆川1424
ryugadou.or.jp
■高知名物の王道、カツオのわら焼きタタキ
高知一日旅の最後に、地元サラリーマンの宴会場として人気の「一旬」を訪れた。カウンター席につくと、満席の座敷から、賑やかな談笑が漏れ聞こえる。活気あふれる高知の夜だ。
「カツオがなくてごめんなさい」
代わりに出てきたのは、ハガツオのタタキだった。カツオの赤黒さはなく、身は淡いピンク色。「ハガツオは足が早いので、県外ではあまり食べられません。でも、どちらかというと、私はハガツオのほうが好き」とスタッフが打ち明けるだけあって、身が締まっていて、味は白身魚のように淡白なハガツオは、カツオのタタキのイメージを一新させた。わらであぶられていて、野性味あふれる香りも何とも言えない。自然&体験キャンペーンでは、わら焼きタタキ作り体験もイチオシだというので、試してみたいところだ。
一旬
088-824-2040
高知市廿代町8-1
www.issyun.jp
知られざる高知の自然。今回体験できたのは、そのほんの一部分だ。モノを買うのと違って、体験観光は「感動」や「驚き」など「ヒトの記憶」に刻まれるもの。だから、一つとして同じものがない。生きた自然を身近に感じる高知旅。自分だけの「感動」を探しに訪れてみては?