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AI×情緒のアプリが全国1位 小学生プログラミング大会

グランプリに輝いた岡山県代表の山下桃子さん(中央)

 都道府県単位の予選を勝ち抜いたプログラミング好きの小学生46組55人が参加して“日本一の小学生プログラマー”を決める催しが3月8日、東京都内で開かれ、各組がそれぞれの課題解決を目指して制作したプログラミング作品の成果を発表した。審査の結果、人工知能(AI)を活用してろうあ者と健常者の間に心の交流を促すアプリを制作した岡山県代表の山下桃子さん(岡山市立江西小6年)が全国1位となる最高評価のグランプリ(文部科学大臣賞)に輝いた。

 この催しは、共同通信加盟の地方新聞45社らでつくる全国新聞社事業協議会主催の「全国選抜小学生プログラミング大会」。子どもたちの考える力などの向上を目的に2020年度から毎年度開いている。6回目の今回は過去最大の1402組の応募があり、書類選考通過の357組が各都道府県大会に臨み、46組55人が日本一を決めるこの日の全国大会出場を決めた。

 協賛は、あいおいニッセイ同和損害保険、アイティフォー、日本ビジネスシステムズ(JBS)、クレスコ、佐川印刷、日鉄興和不動産、クォンツ・リサーチ、Davinci DX、セールスフォース・ジャパン、三井住友銀行。

 グランプリを受賞した山下さんの作品「KIGO(キゴ)-ろう者と健常者の間の心理的な壁を越える装置-」は、ろうあ者と健常者の間に、単なる情報伝達にとどまらない“心の交流”をもたらそうとした点が高く評価された。KIGOは季節感を感じさせる俳句の「季語」のように、さまざまな情感を引き起こす情緒的な射程の広い音の存在をAIで検知し視覚手段でろうあ者に伝えるアプリ。

 例えば屋外のカエルの鳴き声をAIが検知すると、ろうあ者のスマホに通知して、その鳴き声に気付かせるという。

 KIGOの利用場面について、山下さんは「カエルの鳴き声を検知したKIGOは耳が聞こえないお母さんにスマホ画面で通知。通知を受けたお母さんは、健常者の娘を誘って窓を開け、親子一緒に顔を見合わせながらカエルの鳴き声を“感じて”共に笑顔で楽しみます。この親子は窓外の景色や、湿った空気、伸びた雑草(から立ち上る熱気)も共に感じます。このろうあ者と健常者の情緒面での共感こそ、両者の間の壁を解消するものとなるはずです」と語り、KIGO制作の狙いを語った。

 グランプリの盾を山下さんに手渡した審査員長の平井聡一郎さん(合同会社未来教育デザイン代表社員)は「山下さんの作品は、デジタルテクノロジーと季節感や情緒といった目に見えない心理的なものの両面を生かした、とても素晴らしいものです。これからの日本の科学技術の進むべき姿だと思います」と講評した。

準グランプリを受賞した福島県代表の結城希和子さん(右)。左は、プレゼンターを務めた全国新聞社事業協議会代表幹事の安武弘子さん=東京都港区の品川インターシティホール、2026年3月8日

 準グランプリは大きな問題となっているクマ被害の削減を目的に、天気や気温、燃えるごみを出す日などの関係データを踏まえて、クマの出没危険度マップを制作した福島県代表の結城希和子(まおこ)さん(郡山ザベリオ学園小6年)が受賞した。

 「400%増加。皆さんはこの数字を何だと思いますか。この数字はクマの被害で亡くなった人の令和7年度の(対前年度比)増加率です。このような大きなクマの被害をなくしたくて、この“くまっぷ”(クマの出没危険度マップ)を作りました」と話した。

 準グランプリのプレゼンターを務めた全国新聞社事業協議会代表幹事の安武弘子さんは「クマ被害というタイムリーな課題にすぐ取り組み、データを蓄積してクマ出没危険度のマップ精度を高めているところに、このくまっぷの可能性の大きさを感じます。これからも身近な課題をプログラミングの力で解決してください」と述べ、結城さんの作品を高く評価した。

 この日成果を発表した各都道府県の代表46組55人のうち最も多かったのは6年生。最小学年は2人組のチームで参加した沖縄県代表の南城市立玉城小1年、大城時さん。大城さんは1年生ながら審査員の質問にしっかり回答していた。

審査員の質問に回答する最小学年の南城市立玉城小1年、大城時さん(左)。右はチームを組んだ同小2年の井上耀一朗さん

 

 グランプリ、準グランプリ以外の主な受賞者は次の皆さん。

<あいおいニッセイ同和損保賞>中田遥人(愛知県・豊田市立山之手小6年)

<アイティフォー賞>チーム名Plantrix(石川県)=カバクリ・アリ(かほく市立七塚小4年)、中道ゆい(津幡町立井上小4年)、福浦慧真(かほく市立金津小2年)

<JBS賞>安川真伍(富山県・片山学園初等科6年)

<全国新聞社事業協議会賞>武石君一(東京都・東京三育小4年)

写真左から、あいおいニッセイ同和損保賞の愛知県代表・中田遥人さん(右)、アイティフォー賞を受賞した石川県代表の(右から)中道ゆいさん、カバクリ・アリさん、福浦慧真さん

 

写真左から、JBS賞の富山県代表・安川真伍さん(右)、全国新聞社事業協議会賞の東京都代表・武石君一さん