岐阜県の高校生がダブル受賞 「ボランティア・スピリット・アワード」大阪で感動の全国表彰式

全国表彰式の参加者たち
全国表彰式の参加者たち

 地域でボランティア活動に取り組む青少年を応援する「第21回ボランティア・スピリット・アワード」(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命などが主催)の全国表彰式が12月16日午後、大阪市内で開かれた。全国7ブロック40組のブロック賞受賞者が一同に会し、その中から、「文部科学大臣賞」2組、「スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞」8組のほか、ブロック賞受賞者同士の投票で選ばれる「米国ボランティア親善大使」2組が選ばれた。

 このアワードは、1995年に米国で始まり、現在では、日本を含め8カ国1地域で実施されている。個人やグループでボランティア活動をしている12~18歳の青少年であれば誰でも応募でき、地域貢献度・発想力・企画力・実行力などをポイントに総合的に審査する。今回は、全国から1229組の応募があった。

 全国表彰式では、今年11月に各ブロックの表彰式でブロック賞を受賞した計40組が、保護者や関係者らの盛大な拍手に包まれて入場。プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン 代表取締役会長の倉重光雄氏が、「このプログラムは、日本の中高生のボランティア活動に仲間づくりやネットワークの広がりを提供し、気軽にボランティア活動に参加できる環境づくりのために行っています。皆さんには、今後も活動を継続させ、次世代に受け継いでいくリーダーとして活躍することを願っています」とあいさつした。

プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン代表取締役会長の倉重光雄氏
プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン代表取締役会長の倉重光雄氏

 このアワードの頂点となる文部科学大臣賞は、岐阜県立加茂農林高等学校3年のダルモ・マイケルさん(17)と、広島県立瀬戸田高等学校のしまおこし事業部が受賞。米国親善大使には、ダブル受賞となるダルモ・マイケルさんと、白百合学園中学高等学校2年の齊藤さくらさん(17)が選ばれた。

文部科学大臣賞を受賞したダルモ・マイケルさん
文部科学大臣賞を受賞したダルモ・マイケルさん
文部科学大臣賞を受賞した広島県立瀬戸田高しまおこし事業部代表の矢野佑太さん
文部科学大臣賞を受賞した広島県立瀬戸田高しまおこし事業部代表の矢野佑太さん
スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞を受賞し、米国ボランティア親善大使にも選ばれた齊藤さくらさん
スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞を受賞し、米国ボランティア親善大使にも選ばれた齊藤さくらさん

 マイケルさんは、岐阜県美濃加茂市の特産品の干し柿のPRイベントの企画運営や番組制作などを行っている。「フィリピンから7歳でやってきた美濃加茂市で、温かく受け入れてもらい、外国人だということなどで特別扱いせず普通に接してもらえたことで、学校に通うのが楽しくなりました。自分を変えてくれた地域や教室に恩返しがしたいという気持ちで活動してくる中で、自分の背中を追いかけてくれる人も出てきました。今の自分の世界はフィリピンと美濃加茂市という限定的なものですが、米国ボランティア親善大使として、学んできたことを世界に発信していきたいです」と抱負を語った。

「地域へ恩返ししたかった」と語るダルモ・マイケルさん
「地域へ恩返ししたかった」と語るダルモ・マイケルさん

 瀬戸田高しまおこし事業部は、島の活性化や高齢化など島内の課題解決のために、観光冊子や介護マップ作りなどを行った。同校2年で代表の矢野佑太さん(17)は「僕たちの活動を支えてくれたしまおこし事業部や地域の人々、先輩方に感謝しています。何もできなかった僕ですが、活動を通して先生がいろいろなところに連れて行ってくれたり、日本を支える人たちにも会わせてくれ、自分を180度変えてもらいました」と、感謝の気持ちを繰り返し口にした。

地域の人々や先生への感謝を口にする矢野佑太さん
地域の人々や先生への感謝を口にする矢野佑太さん

 齊藤さんは、東日本大震災の被災地でボランティア活動を行ったことがきっかけになり、ベトナムの孤児院やカンボジアの病院で、国際医療ボランティア団体の活動に参加してきた。「カンボジアやベトナムには、戦争で使われた枯葉剤の影響で障がいを持つ子たちがいます。医師や看護師の数も十分でないと知り、医療が届かない子たちに医療を届けるサポートがしたいと思いました。発展途上国に行くことについては周りから心配されたり、現地で不安で泣いてしまったこともありましたが、支えてくれた母に感謝しています」などと話した。

発展途上国での活動について語った齊藤さくらさん
発展途上国での活動について語った齊藤さくらさん

 スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞は、齊藤さんを含む8組が受賞。園芸を通じて高齢者との交流を深めた青森県立五所川原農林高等学校3年で園芸福祉研究室・野菜研究室の代表・伊藤鈴華さん(17)は「最初は表情がこわばっていた高齢者の方々が、ふれあう中でだんだん笑顔になってくれたのがうれしかったです」と、活動を通した喜びを語った。貧困家庭の子どもたちの学習支援などに取り組んだ茨城県立土浦第一高等学校2年の麻生希さん(17)は「家庭環境の影響でできないことがたくさんある子どもたちが、できることが増えて笑顔になっていくことにやりがいを感じました。自分の世界だけで生きていると見えない、違う環境で生きている人たちのことを知りました」など、多くの受賞者たちが「経験したことや知ったことを、活動を続ける中で発信していきたい」との思いを口にした。

スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞を受賞した青森県立五所川原高校園芸福祉研究室・野菜研究室の代表・伊藤鈴華さん(左から2人目)
スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞を受賞した青森県立五所川原高校園芸福祉研究室・野菜研究室の代表・伊藤鈴華さん(左から2人目)
スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞を受賞した茨城県立土浦第一高等学校の麻生希さん(中央)
スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞を受賞した茨城県立土浦第一高等学校の麻生希さん(中央)

 「米国ボランティア親善大使」2人が出席する全米表彰式は、米国・ワシントンDCで2018年5月に予定されており、世界各地でボランティアに取り組む青少年たちが交流する。

全国表彰式の各賞受賞者たち
全国表彰式の各賞受賞者たち
◆第21回ボランティア・スピリット賞 受賞者一覧
文部科学大臣賞 岐阜県 岐阜県立加茂農林高等学校 ダルモ マイケルさん
広島県 広島県立瀬戸田高等学校 しまおこし事業部
SPIRIT OF COMMUNITY奨励賞  青森県 青森県立五所川原農林高等学校 園芸福祉研究室・野菜研究室
福島県 福島県立平支援学校 JRCボランティア部
茨城県 茨城県立土浦第一高等学校 麻生 希さん
東京都 白百合学園中学高等学校 齊藤 さくらさん
愛知県 大口町立大口中学校 近藤 奈々さん
和歌山県 智辯学園和歌山高等学校 堀江 風花さん
島根県 島根県立平田高等学校 JRC部
熊本県 熊本県立八代高等学校 水口 侑紀さん
米国ボランティア親善大使 東京都 白百合学園中学高等学校 齊藤 さくらさん
岐阜県 岐阜県立加茂農林高等学校 ダルモ マイケルさん