自転車と歩行者の事故によって、自転車側が歩行者に重篤な傷害を負わせたり、死亡させたりという深刻な事態が全国で相次いでいる。
神奈川県川崎市では昨年12月、電動アシスト自転車に乗った女子大学生が高齢者の女性に衝突し死亡させる痛ましい事故が発生。女子大学生は両手をハンドルに添えた状態で右手に飲み物、左手にスマホを持ち、左耳にイヤホンもしていた。衝突直前までスマホを操作し、ポケットにしまおうとしていた際にぶつかり、女子大学生は「女性に気づかなかった」と供述しているという。
また、横浜市鶴見区でも自転車に乗った男子中学生が犬の散歩中の女性に衝突。女性は頭を強く打って亡くなっている。
危険な行為だと誰もがわかっている自転車ながらスマホ。「私は大丈夫!」という油断が事故につながることから、どれほど危険な行為かを疑似体験し事故を未然に防ぐことができたら。au損害保険株式会社(東京、以下au損保)、KDDI株式会社(東京、以下KDDI)、株式会社ナビタイムジャパン(東京、以下ナビタイム)は、実際に自転車ながらスマホをしながら走行し、視線を分析する実証実験を実施。また、自転車ながらスマホの危険性を疑似体験できるVR(バーチャルリアリティ)を製作した。au損保などは「自転車安全・安心プロジェクト」の第2弾として、自転車ながらスマホの撲滅、高額賠償の備えに対する意識向上を図る。
■自転車ながらスマホの実証実験 歩行者の見落としが5割増!!
4月から自転車保険加入義務化の条例が施行される京都府とau損保、KDDIは、愛知工科大学小塚一宏名誉・特任教授監修のもと、「自転車ながらスマホ」の実証実験を2月24日に京都府庁内で行った。
関西在住の11名の大学生が被験者として参加。スマートフォンのメッセージ画面を操作しながら自転車を走行させ、「歩行者の認識度」「歩行者を認識するまでの時間」「歩行者を注視する時間」を計測した。実験は視線計測装置を被験者が装着。全50mのコースを「スマホを操作しながら」「イヤホンを装着してスマホを操作しながら」「通常時」の3パターンで走行し、横切る歩行者やまわりの状況をどれほど認識できるかを計測。
この結果、歩行者を見落す回数が通常時は平均1.3回に対し、ながらスマホ時は2.0回に増加。5割増しの結果だ。また、歩行者を認識するまでの時間が通常時は平均1.0秒だったのに対し、ながらスマホ時は1.7秒。歩行者を注視する時間も大幅に減少した。ながらスマホ時の走行がいかに危険で事故につながるか、実証実験からも証明された。
■VRで「自転車ながらスマホ」の危険性を疑似体験
au損保、KDDI、ナビタイムは「自転車ながらスマホ」を疑似体験できる「STOP!自転車ながらスマホ体験VR」を制作した。「STOP!自転車ながらスマホ体験VR」は、VRゴーグルを体験者が装着。左手にスマホ、右手にブレーキスイッチを持ちながら、自転車走行をしているVR映像が放映される。
VR映像では自転車走行中に、スマホにメッセージが入る。スマホに視線を移すと歩行者が急に飛び出してくる。ブレーキまでの時間が計測され、停止できたか事故になったか判定される。また、視野が狭くなることや歩行者の見落とし、ブレーキ操作への反応が遅れることが疑似体験できる。
「適正な運転時」と「ながらスマホ運転時」でブレーキスイッチを押すタイミングがどれ位遅れるのかを実感し、自転車ながらスマホが危険で事故につながるかを是非多くの人に体験して欲しい。
VRアプリは、4月6日に京都市左京区の岡崎公園で行われる「春の交通安全運動スタート式(主催:京都府交通対策協議会)」にて体験できるほか、今後イベント等での利用を予定している。
■重大事故は知っているも自転車保険への未加入者は4割を超える
KDDIが電動自転車の利用者1000人を対象に「自転車の安全・安心利用に関する意識調査」を行ったところ、「ながらスマホ自転車事故(川崎市の女子大生による死亡事故)を知っていますか?」との問いに7割強が知っていると答えた。しかし自転車保険について8割が認知しているものの、保険への未加入者は4割を超えた。
ながらスマホが危険だと認識しているのにもかかわらず、保険への加入率が低い。まさかの時の備えがなければ、重大な事故の際に被害者も救済できない。自転車に乗る人は再認識し、保険への加入を検討すべきだ。
■毎月500万円以上の損害賠償請求が発生!!
au損保によると、毎月500万円以上の損害賠償が1件以上発生している。過去の最高額は約8000万円に上り、賠償事故の受付件数が増加傾向にある。そのような中、被害者の救済と加害者の経済的負担の軽減を目的として、全国の自治体で「自転車保険加入義務化」を条例で施行する動きが進んでいる。大阪府、兵庫県、滋賀県、鹿児島県などは既に条例が施行され、埼玉県と京都府は今年の4月から保険加入義務化となる。このほか、自転車保険への加入を努力義務とする自治体も東京都や千葉県などに広がっている。
■自転車保険、思い立ったら加入すべき!
自転車保険、大切さをわかっていても、加入となると腰が重くなるという方も多いのではないだろうか。書類の記入、印鑑…、そんな手続きが不要な自転車保険がある。
au損保なら、お手持ちのスマホ、パソコンからいつでも加入手続きが可能。しかも、申し込んだその日から補償を開始できる。auユーザー以外ももちろん加入可能だが、auユーザーの場合はauIDの連携でさらに手続きが簡単になる。
このタイミングで自転車保険の加入を検討しているなら「au 自転車保険」で検索してはいかがだろうか。
手軽で誰でも利用できる自転車。でも、あなたや家族がいつ重大事故の加害者になるか分からない。刑事上の責任のほか、被害者の救済など民事上の責任も負うことになる。自転車は軽車両と認識し、事故に備えた保険への加入状況を利用者は再確認して欲しい。