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【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】分からへんこと、やってみた

2022年12月19日=1,352
*がんの転移を知った2019年4月8日から起算


三重県南部に位置する紀北町を流れる銚子川
三重県南部に位置する紀北町を流れる銚子川

 

以前この場で、「分からんところが分からへん」をつづりました。まぁ最たるモノはSNS、特にユーチューブ・ライブ。本日はその続編です。

▽YouTubeライブ

な、なんと、やってみましたぁ~。12月17日土曜の夜に。記念すべき日となりました。祝か否かは置いといて。なぜならば視聴者の反応、すなわち「ええね」「アカンね」のアンケートを取ってへんから。というよりも、そんなん知りたぁない!

ちょうど2022今年の漢字が「戦」と発表された後だったので、お題は「何でも挑戦」としました。開始時刻は夜8:15から、約30分間を予定。ひとりの友人が尋ねた。

「8時とか8時半スタートやなくて、なんでそんなええ加減な始まりなん。何か理由あるん?」
「あったり前やん、理由あるよ。オレがええ加減な人間やから」

こう答えてやりました。

実は他にも訳があるんです。時計の長針が0か6を指した時刻(この言い方はいまの子どもには通用しにくいと、小学校に勤める知り合いから指摘された)とすると、区切りはいいが、自分の準備開始が〇時55分あるいは〇時45分となり、忘れやすくなってしまう。8:15となれば自分は8時に用意を始めたらええので覚えやすい。

▽どちらも現役

そしてライブの内容は、まず自己紹介。地球人口80億人でわたくしを知らぬ人のほうが多いはずやから。
定番の自己紹介は、

「がん患者と医者どちらも現役、三重の二刀流こと大橋洋平です」

それからは、何にでも挑戦する原動力はワクワクどきどき好奇心だということ、自己顕示満載の自分語りなど。やっぱり承認欲求なんかな。そして出会いは生きる力をもらえることなど、話した。途中にわが著書もちゃっかり紹介して。

最後は、挑戦するやり方には2種類あると締めくくった。

ひとつは、前もって用意・準備して挑む。用意周到ならば、念願成就の確率も上がる。失敗が許されない場合は、もちろんこちらに限る。
もうひとつは、準備はそこそこでまず挑んでみる。おのずと失敗も多くなる。失敗しながら、挑戦しながら、習得するやり方だ。

かく申すわたくし、がんになってから、特に転移を生じてからは完全に後者タイプとなりました。
「失敗してもええやん。とにかくやってみたら」

ここの水に出会うといつも心身が落ち着く
ここの水に出会うといつも心身が落ち着く

▽端末操作が難しい

しゃべること以上に至難の業が、ライブ配信そのものの操作。なんとかヤード申し込みに始まり、視聴用URLと参加用URLの存在。URLにふたつあることも初めて知った。またサムなんとか(編注:サムネイル)の作成。そしてライブ配信は一体どの時点から始まるのか、ライブ中はどこを見てしゃべったらえんか、などなど。分からぬこと限りなし。己が生きている間に果たしてできるんか。

一方こうも考えた。誰かにできることやったらオレにもできる、なんて。そしてこのライブ配信。例えばワールドカップ出場選手(アルゼンチンおめでとう!)のような走ったり跳んだりする能力は必要ない。自宅に居ながらにして可能だ。だったらオレにもできるはず。
ということで、次回もしも企てましたならば、また視聴してやってくださいな。
登録名「足し算命・大橋洋平の間」。応援のほど、どうぞよろしくお願いいたしまぁす。

(発信中、フェイスブックおよびYouTubeチャンネル「足し算命・大橋洋平の間」)


おおはし・ようへい 1963年、三重県生まれ。三重大学医学部卒。JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)緩和ケア病棟の非常勤医師。稀少がん・ジストとの闘病を語る投稿が、2018年12月に朝日新聞の読者「声」欄に掲載され、全てのがん患者に「しぶとく生きて!」とエールを送った。これをきっかけに2019年8月『緩和ケア医が、がんになって』(双葉社)、2020年9月「がんを生きる緩和ケア医が答える 命の質問58」(双葉社)、2021年10月「緩和ケア医 がんと生きる40の言葉」(双葉社)、2022年11月「緩和ケア医 がんを生きる31の奇跡」(双葉社)を出版。その率直な語り口が共感を呼んでいる。


このコーナーではがん闘病中の大橋先生が、日々の生活の中で思ったことを、気ままにつづっていきます。随時更新。