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「東福寺」の全てがわかる初の大規模展覧会開催 東京では3月から、京都では10月から

東京会場 チラシ
東京会場 チラシ

 いってみれば「オール・アバウト・東福寺」。京都五山のひとつで、新緑と紅葉の名所として知られ、禅宗文化を代表する文物を多数所蔵する「東福寺」の全てがわかる初の大規模展覧会が、東京と京都で2023年に開催される。

 東福寺という名称は、奈良の東大寺の「東」と興福寺の「福」をとってつけられた。鎌倉時代に建立された、巨大伽藍(がらん)を持つ臨済宗東福寺派の大本山および塔頭(たっちゅう)に伝わる、中国から持ち帰った書画など「東福寺の門外不出・未公開の書画その他の文物を含め、禅宗文化財をあまねく紹介する」(岡根方春=おかね・ほうしゅん=寺務長)貴重な機会となる。

仏手 鎌倉~南北朝時代・14世紀 京都・東福寺蔵 ※東京・京都会場とも通期展示
仏手 鎌倉~南北朝時代・14世紀 京都・東福寺蔵
※東京・京都会場とも通期展示

 14年かかった「五百羅漢図」の修理が2021年度に完了した記念でもある特別展「東福寺」は、東京展が3月7日(火)から5月7日(日)まで東京国立博物館(上野)で、京都展が10月7日(土)から12月3日(日)まで京都国立博物館にて開かれる。

 「画聖」吉山明兆(きっさん・みんちょう)の筆になる重要文化財「五百羅漢図」の現存する47幅を修理後、初めて披露する(会期中、展示替えあり)。巨大伽藍を誇る東福寺の全景を描いた重文「東福寺伽藍図」、本尊の脇をかためる重文「阿難・迦葉立像(あなん・かしょうりゅうぞう)」、旧本尊の巨大な左手「仏手(ぶっしゅ)」など見所が多い。

重要文化財 五百羅漢図のうち第20号幅 吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵
重要文化財 五百羅漢図のうち第20号幅 吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示期間 東京会場:3月28日(火)〜4月16日(日) 京都会場:10月24日(火)〜11月5日(日)

 「東福寺展は当館の念願でした。巨大な建造物で名高い寺院からの特大サイズの仏像が一堂に会します」と東京国立博物館の富田淳(とみた・じゅん)副館長はアピールする。

 展示は全5章からなる。第1章は「東福寺の創建と円爾(えんに)」、第2章は「聖一派(しょういちは)の形成と展開」、第3章は「伝説の絵仏師・明兆」、第4章は「禅宗文化と海外交流」、第5章が「巨大伽藍と仏教彫刻」だ。

 東福寺は鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家が大寺院の創建を初願(1236)、開山として円爾を招いて建立した禅宗寺院。後世に「伽藍面(がらんづら)」と称されるほど我が国随一の巨大伽藍を誇り、多くの弟子を育成した。国指定を受けている文化財は、本山東福寺・塔頭合わせて国宝7件、重文98件の計105件におよぶ。

 京都国立博物館の栗原祐司(くりはら・ゆうじ)副館長によると、東京展、京都展のチラシはそれぞれの会期の季節から「青紅葉」と「紅葉」の色をイメージしているという。 詳細は展覧会公式サイトで。公式ツィッターは@tofukuji2023で、問い合わせは050-5541-8000(ハローダイヤル)。