オムロンヘルスケア(京都府向日市)はこのほど、仙台市医師会や仙台市、東北大大学院工学研究科らが行う「オンライン診療カー」の実証実験に参画した、と発表した。
医師不足が懸念される山間地の住民の慢性心臓疾患と慢性呼吸器疾患を、速やかに把握して治療につなげることが目的という。
実験は2023年2月1日~3月31日、仙台市内の医療過疎地域である山間エリアで実施。通信機能付き聴診器やオムロン携帯型心電計などの診療用機材や通話カメラを備えたオンライン診療カーを巡回させ、慢性心臓疾患患者と慢性呼吸器疾患患者のオンライン診療を現地で行う。診療カーには看護師が同乗し、オンライン上で医師の指示を受けて現地で医師の補助行為を行う。遠隔地にいる医師は、画面越しに見える患者の様子や通信機能付き診療用機材が伝える脈拍数・心拍数・呼吸数などのデータを参照して、患者の状態を把握するという。
仙台市医師会の安藤健二郎会長は「東北の過疎地域は今後ますます人口減少が進み、今までの医療提供体制が維持できなくなる恐れがある。仙台市も郊外の山間地は医師が少なく、同様の課題を抱えている。オンライン診療実証実験では山間地に展開する診療用車両に各種医療機器を搭載し、通信環境が整わない地域からも心電図波形や聴診音などの重要な生体情報が遠隔地の医師に正確に伝送できるかがテーマ」と説明している。